「さらば青春の光」森田哲矢、お笑い界の中間管理職立ち位置は「楽しんでやる方が得」
お笑いコンビ「さらば青春の光」の森田哲矢が1月25日公開のアシックスワーキング ショートドラマで、建築業界で働く中間管理職の社員・前田を演じている。現在42歳の森田も、お笑い界のなかで“中間管理職”的な立ち位置を感じることが多くなってきているというのだ――。 【動画】さらば森田、人生のターニングポイントは「鹿かオーディションかという選択」 ■中間管理職的な立場 森田がショートドラマで演じているのが、建築現場で学生ノリが抜けていない新人社員と、ベテラン社員との間で、それぞれの距離感に悩んでいる前田。特に後輩との接し方にはセンシティブな一面ものぞかせる。 「撮影しながら僕らの現状と重なる部分があるなという感じはありましたね。特に後輩が自分の番組に来たときは、美味しくしてあげたいなと思うし、出来なかったときは『申し訳ないな』という風に思うことが多いですね」。 自身が“若手”を経験しているからこその思い。そこには先輩から受けた恩も大きく影響している。 「僕ら若手のころは、どこか吹っ切れていたというか、大きな番組に行って下手を打っても『MCの腕がないんだ』なんていきがっていた時期もありましたが、それでもやっぱり周囲の先輩方にフォローをしていただいたという思いが強いので、うまく後輩を立てられなかったときは『まだ俺らは足りてないな』と思うこともあります」。 ■ダウンタウンの現場は「吐きそうな顔をしています(笑)」 森田が「さらば青春の光」を結成したのが2008年。現在まで15年という歳月が流れたが、森田らが若手と呼ばれているころと、お笑い界は変わっているのだろうか。 「正直今の若手がどんなことを考えているのか、分からない部分はありますね。すごくサイケデリックな感じの後輩が増えてきているし、新しい笑いに挑戦している奴らもいる。面白い人が多いですよね。俺は面白いと思われているのかな……なんて考えることもあります」。 本ショートドラマのテーマは「仕事はもっと楽しめる」。お笑いは人を楽しませるものだが、自身も楽しむべきなのか――。 「楽しんでやる方が得だと思います。昔から考えるとお笑いをやって飯を食えることが奇跡みたいなものなので。一方で、単独ライブとかはお金を払って観にきてくれている人たちなので、楽しいだけではなく結果を出さないというシビアな面も持っていないといけないと思います」。 中間管理職の苦悩を描いたショートドラマ。演じていて感情移入できる部分は多かったというが、一方で森田自身はそこまで重圧みたいなものはないという。 「先ほども話したように後輩を美味しくしてあげたいなという思いや、先輩とご一緒すると緊張することもありますが、ヘラヘラした感じを許してくれる人たちが多いので、あまり居心地が悪いと感じることはないですね。でもやっぱりダウンタウンさんの現場はちょっと特別です。現場来てみてくださいよ。僕ら吐きそうな顔しているので(笑)」。 ■仕事は「楽しんでやる方が得」 「楽しんでやる方が得」と語った森田。仕事を楽しむためのコツはあるのだろうか。 「やっぱりワクワクすることですかね。これやったらバズったりするんちゃうかな……みたいな。そういう意味だとYouTubeとか、あまり制約もないので自分が面白いと思ったことをやるというのは大切かなと思うんです」。 コンプライアンスが重視される時代。なかなか伸び伸びと“面白いこと”にチャレンジすることは難しいが、それでも観てくれている人はいる。 ■鹿を見に行くかオーディションに行くか…… 「自分たちが面白いと思ったことをやる」と仕事を楽しむコツを語った森田。一方でもう一つ「この仕事をしていてよかったな」と実感できることがあるという。 「給料明細を見たときです(笑)。僕は25歳のときにこの世界に入ったのですが、最初のころは本当にひどい生活をしていた。マジでダラダラして松竹芸能のオーディションにも行くかどうか迷っていたんです。ちょうどオーディションの日に、仲間と奈良公園に鹿を見に行く約束があって。前日にも六甲山に男だけで夜景を見に行っていたのですが、それがめちゃくちゃ楽しくて。当日もギリギリまでオーディション行くか鹿を見に行くか悩んでいたんです。あのときオーディションに行っていなかったら今はなかったかもしれません」。 鹿かオーディションかという選択が「人生の大きなターニングポイント」になったと笑う森田。そこから15年「楽しむ」ことをモットーにお笑いに従事してきた。そんな森田は「僕らは下世話な時代に育ったけれど、いまの若い子たちは、もっとスマートな時代の子たち。コンプラとかをしっかり分かっている子たちなので、好きなことや楽しいと思うことをやっても、時代にフィットしないことはないと思う。思い切りやればいい」と若手にアドバイスを送っていた。 (取材・文:磯部正和)