完璧なシナモンロールのレシピ、ここに完成。漏れない「理想のフィリング」がカギだった
ここ数年、筆者は柔らかいパンをつくるために、試行錯誤を繰り返してきましたが、最近になって、スタート地点が間違っていたことに気がつきました。それはパンでなく、フィリング(具材)が肝心なのだということです。 従来のシナモンロールのレシピでは、フィリングは焼き上がる前に漏れてしまいます。 おいしいシナモンロールをつくるには、パンから漏れないおいしいシナモンフィリングをつくる必要があります。そのためには、デンプンを加えれば良いだけだったのです。
バターではうまくいかない理由
筆者にとってシナモンロールの金字塔は、シナボン(アメリカ・シアトル発のシナモンロール専門店)です。 自宅でそのバンズの模倣品をつくるつもりではありませんが、シナボンの中に入っているフィリングを再現しようとしています。 これは、バター、ブラウンシュガー、シナモンという一般的な家庭のレシピでは実現できません。 この3つの材料でつくったシナモンロールのフィリングは、最初はおいしそうに見えますが、オーブンの熱に当たると、シナモンのシミを残してすべて流れ出てしまいます。 バターを加える割合を調整すると、どうなるのでしょうか? バターが溶け出しますが、今度はロールがバターで炒めたようになり、砂糖が下のほうで焦げてしまいます。 パンが焼ける前に必ずバターが溶け出すので、この組み合わせではうまくいきません。 そこでデンプンの出番なのです。
デンプンはフィリングを安定させる
フィリングが溶け出さないようにするためには、高温でも溶け出さず、必要な量のシナモンと砂糖を保てる物質が必要となります。それがデンプンなのです。 デンプンのゲル化する力は、料理やお菓子づくりの際にとろみをつけたり、食材を結合させたりするのに使われます。 唯一の難点は、ほとんどのデンプンは熱を加えるととろみがつくことです。シナモンロールは高さがあるので、生地が焼けている間にフィリングが溶け出てしまうリスクは冒せません。そこで、インスタントクリアジェルを使います。 インスタントクリアジェルは、パイのフィリングや保存食の缶詰によく使われる改良されたスターチです。あまり馴染みがないかもしれませんが、食べたことがあるはずです。 味はなく、ほぼ透明ですが、水分に触れるとすぐにとろみがつきます(加熱を必要とする「クリア・ジェル・クックタイプ」と混同しないように)。 この賢いデンプンを使うと、シナモンのフィリングとロールを合わせる前に、厚さや薄さを正確に決めることができます。