「終末の日の飛行機」E-4B、後継機は大韓航空747-8改修 5機売却へ
大韓航空(KAL/KL)は、ボーイング747-8型機5機を米SNC(シエラ・ネバダ・コーポレーション)に売却すると現地時間5月8日の取締役会で決議した。米空軍が空中指揮機E-4B「ナイトウォッチ」の後継機開発をSNCに発注しており、大韓航空は2025年9月30日までの引き渡しを予定している。 【写真】後継機開発が始まったE-4B E-4Bは、核戦争を想定した747-200Bを母体とする空中指揮機で、「Doomsday planes」とも呼ばれており、日本ではキリスト教などの「Doomsday(最後の審判の日)」から「終末の日の飛行機」「世界最後の日の飛行機」などと訳されている。 当初2機のE-4Aが発注されて1973年6月13日に初飛行し、1979年12月に最後の4号機が改良型のE-4Bとして納入され、受領済みの3機もE-4Bに改修された。現在も4機が稼働しているものの、半世紀が過ぎている。 米空軍は、E-4Bの後継機プロジェクト「SAOC(生存可能な空中作戦センター)」を、SNCに130億ドルの契約で発注したと4月26日に発表。2036年に開発が完了する見通し。 大韓航空は、旅客型747-8I「インターコンチネンタル」と貨物型747-8Fの両方を運航する世界で唯一の航空会社。旅客型は10機導入したが、1機は韓国空軍が大統領専用機として運用しており、自社で運航する旅客型は9機で、7機の貨物型と合わせて計16機となっている。 売却するのは旅客型5機で、売却総額は9183億3750万ウォン(約6億7500万ドル)。大韓航空は、747-8の売却益を新型機の中長期導入計画に充てるとしている。また、引き渡し予定日は今後変動する可能性があるという。 747-8は製造が終了しており、最終号機となった貨物型の747-8F(登録記号N863GT)が、アトラスエアー(GTI/5Y)などを傘下に持つアトラス・エア・ワールドワイドへ2023年1月31日に引き渡された。1574機が製造された最後のジャンボ機で、旅客型の最終号機(HL7644)は大韓航空が2017年7月に受領している。
Tadayuki YOSHIKAWA