大きく落ち込んだ4-6月GDP――消費と投資の動きから日本経済の課題を読み解く
2014年4-6月のGDPが発表され、実質GDPの対前期比(季節調整済み)は-1.7%(3ヵ月の変化率なので年率に換算すると-6.8%)となりました。東日本大震災が生じた2011年1-3月期の-1.8%以来の落ち込みとなりますが、在庫品増加の影響を考慮すると実際にはそれよりも大きいくらいです。(ちなみに、リーマンショック後の2009年1-3月期は-4.0%でした。) 消費税増税後の影響を、例えば民間最終消費支出でみると、その寄与度は-3.1%と総合のGDPを上回る大幅なマイナスでした。そのため、想定内だったという見方もあるものの、大幅なマイナスだと考える人も多いのではないでしょうか。 私は、今回の統計をみて民間消費は想定よりも大きな落ち込みになったと感じます。グラフは民間消費と民間投資の推移を少し長めにみたものです(実質季節調整系列、2005年連鎖価格、年額換算)が、これをみると、最近では例のない消費の急落となっていることがわかります。
今回の消費の落ち込みはプチ・バブルの反動も?
消費税増税前の駆け込みとその後の反動という動きは想定されていたものでした。今回も1997年の消費税増税時とほぼ同じ動きをしていますので、消費の下落そのものには驚きはありません。このような動きは代替効果と呼ばれ、前後でならしてみるとトレンドは変わらないので、消費のタイミングがずれたに過ぎないといえます。 一般的に代替効果は長く使える耐久財で強く表れます。逆に非耐久財やサービスではあまり表れません。たとえば、レストランでの食事は、消費税増税だからといって、半年分食べ貯めようというわけにはいきません。 駆け込みと反動は、耐久財、半耐久財、非耐久財のいずれにおいても生じていますが、耐久財の方が強く出ています。1997年と比較すると、自動車(とくに軽自動車)などの耐久財で大きめの駆け込みが生じた分、反動が強めになっています。 それでも財の性質の違い以外では、特殊な動きは見られないため、消費全体の動向は代替効果で説明可能です。耐久財での変化が大きかったため、やや時間がかかるかもしれませんが、消費は徐々に回復していくだろうと考えられます。 ただ、上のグラフをみてわかるように、それでも今回の消費の落ち込みは大きいようにみえます。それはなぜか。注目したいのは2013年に入ってからの消費の伸びです。1997年の時は、消費の駆け込みが始まったのは、せいぜい半年前(ここで民間住宅は含まれていない)で、大きくは前期(3ヶ月前)です。今回も同じくこの時期に駆け込みがみられますが、異なるのは、加えてその前の2013年初めから消費が伸びていることです。 これはいわゆるアベノミクス効果と考えられます。消費の増加は高額商品が中心だったため、とくに百貨店の売上げの伸びが目立ちました。株価が上昇したための資産価格効果で、消費を増やしたのは、主に金融資産を多く持つ高齢者でした。 今回の統計で予想されるのは、その動きがプチ・バブルだったのではないかということです。過剰な消費の増加、すなわち景気過熱だったということです。そのような過剰消費は、ずっと続けることはできませんので、やがて戻ります。そのタイミングと消費税増税の反動が重なって、今回の大幅な消費下落が発生したと考えられます。