【#佐藤優のシン世界地図探索71】米国に「影の政府」は本当にあるのか?
――NYTは新聞メディアですよね。 佐藤 新聞報道のメディアで、しかも一民間企業で株式会社、営利の追求が目的です。そんな企業に「バイデン降りろ」とか「お前だとトランプに勝てない」と言う資格はありません。 となると、トランプ支持者たちの「ディープステート(影の政府)はある」という主張は本当だとなりますよね。 ――マジでありそうですね。NYTを読むと「影の政府は実在する」となりますね。 佐藤 まさにそういうことです。アメリカのエスタブリッシュされたメディアは異常なんですよ。 ――バカ丸出しで聞きます。影の政府ってあるんですか? 佐藤 影の政府に関してはこう考えてください。 どの民主主義国家でも、政治には2通りの人間が関わっています。ひとつは選挙で選ばれた人です。もうひとつは資格試験によって登用された人です。 しかし、例えば政治部記者のような政治家と属人的な信頼関係を持っている人が存在します。そして彼らは選挙の洗礼も受けず、資格試験で登用されたわけでもなく、政治に影響を与えます。 こういった非公式に国家の意思決定に影響を与えるものを「ディープステート」と言っているんです。それが影の政府ですよね。だから、民主的統制に服していない人たちは、おかしいのです。 ――なぜNYTはあんなことを言い始めたのですか? 佐藤 彼らはトランプが怖いんですよ。NYTはトランプのいない4年間、実際に権力を握っていました。共産党政権ができることに対する恐怖に近い感覚ですよ。 ――米国のマスコミエリートたちは、トランプが大嫌い。 佐藤 それから経済人も皆、危機感を持ちます。だからトランプ政権ができるというのは、共産主義政権の誕生と同じくらいのインパクトがあります。 ――さらに、暗殺未遂の銃撃からサバイバルして、トランプは神憑(がか)りになっている。 佐藤 トランプはカルヴァン派です。なので、神憑っているというより、神から選ばれた人間だという確信をより強めているはずです。大統領になるのも確実だし、米国のために使命があるから自分が選ばれたと、そんな感覚になっていると思いますよ。そうすると、おのずと独特のオーラが出てくるんです。 ――だから、NYTは怖がる。 佐藤 そうです。それでNYTはビビり上がっているわけですよね。 次回へ続く。次回の配信は2024年8月23日(金)予定です。 取材・文/小峯隆生