『ジョブチューン』で人気!安食雄二「ぶっつけ本番で、台本はありません」合格したコンビニスイーツは棚から姿を消して
安食さん:彼らは自分の弟子ではありませんから。コンビニの開発者というプロであり、お互いプロという意味では同等だと思っているので、上から偉そうなことを言う気にはまったくなれないですよね。だからテレビを見た人には「安食シェフは優しい」なんて言われますけど、自分の店の厨房では相当キツイですよ(笑)。そもそも、ぼくらと彼らの仕事はまったく違います。ぼくらは毎朝5時半に厨房に立って、焼き始めて、冷まして、組み立てて、カットして、お店に並べる。買っていただいて、その日のうちに召し上がっていただく。いっぽう、彼らは低コストで商品を作り、物流にかけ、店頭で数日もたせなければいけない。お互い制約があるなかで、おいしいものをいかに作るか奮闘している。
審査の基準は、コンビニスイーツとして「おいしいか、おいしくないか」「商品価値があるか、ないか」。コンビニスイーツの使命を踏まえたうえで、ジャッジしています。忖度はいっさいなく、おいしくないなと思ったら、遠慮なく不合格にもします。コンビニ側は番組でいろいろなアドバイスを受け、それを即商品に反映させられる。商品開発という意味ではこれ以上ない環境でしょうし、実際に番組を通して作り手が成長してきていると思います。何よりテレビの反響は大きいですよね。ミニストップが全品合格を達成した後なんて、ぼくも店に行ってみたけれど、すごい人で全然買えませんでしたから。
■『ジョブチューン』出演のおかげで自分の世界も広がった ── 宣伝効果を含め、コンビニ側にとって番組出演のメリットは大きいと思います。いっぽうで、シェフにとって出演のモチベーションとなるものはなんですか? 安食さん:いちパティシエとして有名になりたい、という欲はありません。ただ、番組に出演して知名度が上がることで、新たなビジネスチャンスにつながるのは事実です。全国に2万店舗あると言われる洋菓子店のなかで、お客様にいかに選んでもらえるか。そういう意味ではコンクールで賞をとるのと同じ。「この人だったら」と思っていただいくきっかけがそこで生まれることもある。実際、ある若い農家さんから「横浜でマンゴーを作ろうと思ってる。まず安食さんに使ってもらいたい」と、いきなり飛び込みで店に来られたこともありました。