政治資金規正法改正案が審議入り 各党の主張に溝、行方は不透明
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、与野党が提出した政治資金規正法改正案が22日、衆院の政治改革特別委員会で審議入りした。この日は自民案、立憲民主党と国民民主党の共同案、日本維新の会案などについて提出者が趣旨説明をし、23日から質疑が行われる。パーティー券購入者の公開基準額などを巡って各党の主張に隔たりが大きく、審議の行方は不透明だ。 【一覧】自民裏金事件 主な議員の処分内容 自民案はパーティー券購入者の公開基準額を現行の「20万円超」から「10万円超」に引き下げる。政党から議員個人に支出される「政策活動費」については、政党からの支出が1件あたり50万円を超える場合、「選挙関係費」などと大まかな項目を政党の政治資金収支報告書に記載する。 自民の鈴木馨祐氏は事件について「深くおわびする」と陳謝した上で、自民案を「実効的な再発防止策を策定し、政治資金の透明性を確保する法案だ」と説明した。 一方、立憲の落合貴之氏は、自民の対応について「ますます政治不信がかき立てられている」と批判。使途が公開されず「ブラックボックス」との批判がある政策活動費の禁止などを盛り込んだ立憲・国民民主案に関して「政治に対する信頼を回復するための第一歩となる」と述べた。立憲は政治資金パーティーの開催禁止法案も単独提出した。 維新案はパーティー券購入者の公開基準額を「5万円超」に引き下げる。政策活動費は議員らに精算不要な渡しきりでの支出を禁止し、「特定支出制度」を創設。年間の上限を5000万円か政党交付金の1%の少ない方とし、10年後に領収書などを公開する。維新の青柳仁士氏は、自民案について「改革の本丸であるべき企業・団体献金には一切触れず、政策活動費への対応も極めて不十分」と批判した。 自民は当初、公明と共同で与党案を提出する方針だったが、パーティー券購入者の公開基準額などを巡って折り合わず、単独提出に踏み切った。【高橋祐貴、野間口陽】