『虎に翼』第45話にしてようやく“本編”スタート 寅子が再び法律という翼を手にする
第45話までは寅子(伊藤沙莉)という人物を紹介する長いアバンだった
第45話では寅子の顔のアップのまま「佐田寅子昭和13年度、高等試験司法科合格。私を裁判官として採用してください。お願いします!」というセリフから、流れるようにタイトルバックへと突入。時間にして放送開始から13分。それは長い長いアバンであり、朝ドラとしては物語の転換点で少なからず使われてきた“最終回構成”である。「いい最終回だった」という感想がSNSに溢れ返るところまでがお決まりであり、その多くがヒロインもしくは主人公がパートナーと結ばれ結婚、家族写真を撮影というのが朝ドラとしての雛形であるように思える。 それらの作品を否定しているわけではないが、『虎に翼』は第1話から朝ドラらしくない朝ドラとして新たな価値観、表現の仕方を数多く提示してきた。寅子の瞳に光が宿るタイトルバックにも新たな意味を見出してしまうような、この最終回構成が意味するのは、第45話までは寅子という人物を紹介する長期間にわたるアバンだったということ。再び法律という翼を手にした寅子が裁判官を目指す物語、『虎に翼』の本編がようやくここから始まる。
渡辺彰浩