安藤勝己が悩み抜いて選定した「3歳牝馬番付」 激戦の牝馬クラシックで勝ち負けを演じるのは?
3歳クラシックの季節がやってきた。まずは、牝馬クラシックの第1弾、GI桜花賞(4月7日/阪神・芝1600m)だ。 ◆大原優乃「競馬インタビューカット集」 昨年はリバティアイランドという絶対的な存在がいて、桜花賞を次元の違う走りを見せて快勝。続くGIオークス(東京・芝2400m)も完勝して、最終的に三冠牝馬に輝いた。 しかし今年は、牡馬戦線同様、牝馬戦線もズバ抜けた馬が不在。混戦の様相を呈している。桜花賞、さらにはオークス(5月19日)で勝ち負けを演じるのはどの馬なのか、まったく予想がつかない。 そこで、今年も競走馬の分析に長けた安藤勝己氏を直撃。3歳牝馬クラシックで躍進が期待できる馬をピックアップしてもらい、独自の視点による「3歳牝馬番付」を選定してもらった――。 昨年の牝馬クラシックには、牡馬も合わせて一番強いのではないか、という"絶対女王"リバティアイランドがいた。しかし今年は、それほど抜けた馬はいない。 ひと言で言って「混戦」。それも、上位拮抗の混戦と言える。年々、競走馬全体のレベルが上がっているので、そこから抜け出す存在になるのは、かなり難しくなっているのだろう。 さて、今年の3歳牝馬戦線。巷では、牡馬相手にGIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)を快勝したレガレイラ(牝3歳)を「一強」とする見方が強いようだ。そうしたなかで、同馬は結局、牡馬混合のGI皐月賞(4月14日/中山・芝2000m)に向かうことになった。そのため、牝馬番付からは外させてもらうことにした。 ただ、レガレイラが牝馬クラシックに回ってきたとしても、自分はそこまで高く評価していたかはわからない。詳細は、牡馬番付の際に触れたいと思う。 何はともあれ、今年の3歳牝馬については、有力各馬の優劣をつけるのがとても難しかった。そういう意味では、馬券的には面白いのではないだろうか。
横綱:アスコリピチェーノ(牝3歳)(父ダイワメジャー/戦績:3戦3勝) 昨年来、クラシック出走を視野に入れた前哨戦やトライアルなど、この世代を評価するポイントとなるレースを見てきたが、牝馬戦線で一番レベルが高いと感じたのは、昨年暮れのGI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月10日/阪神・芝1600m)。GIで格がひとつ上、ということもあるが、そう感じた理由はそれだけではない。 負けていない馬が何頭かそろっていて、メンバーレベルが高かった。さらに、1分32秒台と勝ち時計も優秀だったからだ。 この馬はそのレースを勝ったのだから、横綱とすべきだろう。 何より、ここまで3戦して3勝。一度も負けていない、というのがいい。こういう馬は勝負強さとか、"ここ"というときに必要な何かが備わっているものだ。 馬格もあるし、操縦性もよさそう。しかも、一戦ごとにレースが上手になっている。昨夏のGIII新潟2歳S(1着。8月27日/新潟・芝1600m)の頃は子どもっぽい走りをしていたが、前走の阪神JFの際には、だいぶ走りに成長が見られた。 その前走からして、桜花賞の、阪神・外回りのマイルコースは間違いなく合う。桜花賞ではいい走りをすると思う。 自分が現役時代に乗っていたダイワメジャーの子で、距離に限界がありそうに思えるが、あれだけ操縦性がよければ、マイル以上の距離も持つはず。オークスも含めて、春の牝馬クラシックはこの馬が中心になるだろう。