『TOKYO VICE』が開いた扉、アンセル・エルゴート×渡辺謙インタビュー
■日本の時代劇に出たい
――『TOKYO VICE』が、世界一ロケが難しいと言われている東京でロックダウンで中断後撮影を再開したのは、コロナ禍の2020年11月。本作が世界で勝負できたことは、日本のエンタメ界の扉を開いてくれたように思います。 【渡辺】最初、警察とヤクザの話と聞いた時は、もうやり尽くしてるのでは?と思ったんですが、やっぱり、アンセルが演じたジェイクの存在が肝でした。外国人の記者の目から見た日本という、これまでにないアングルから描くことによって、全く違う世界が広がったというか、いままでアンタッチャブルだったところまで踏み込めたというか。 パンデミックが起きて、僕らの撮影も危うかったけれど、そのおかげといってはなんだけど、配信サービスが一気に広がって、良質で面白い作品を作れば世界中の人が見てくれることがわかった。2時間くらいの映画では描き切れない、エピソードを重ねていくドラマならではの魅力や視聴習慣も広まった。本当にいいタイミングでSeason1が放送・配信されたと思います。 【アンセル】僕は、『TOKYO VICE』が成功したのは当然だと思っています。通常の日本のドラマよりもバジェットがあって、 【渡辺】1話あたり日本の映画1本分ですからね。 【アンセル】それを18話(Season1=8話、Season2=10話)。渡辺謙さんが出ていて、 【渡辺】主演はアンセルだし(笑) 【アンセル】(照れ笑い)ほかの日本のキャストも大スターばかり。マイケル・マンがエグゼクティブ・プロデューサーでSeason1第1話の監督もしたし、90年代の東京が舞台というのもすごく面白いと思ったし、みんなで一生懸命撮影したし、絶対成功するって思っていました。 ――『ベイビー・ドライバー』(17年)では天才的なドライビングテクニックを誇る“逃がし屋”の青年を、スティーヴン・スピルバーグ監督が名作ミュージカルを映画化した『ウエスト・サイド・ストーリー』(22年)でも主役を務めたアンセル・エルゴートさんですが、今後挑戦したい役はありますか? 【アンセル】日本の時代劇です。 ――謙さん、一緒にどうですか? 【渡辺】えー!?(苦笑) 【アンセル】じゃあ、伊藤英明さん(Season1で共演)と出る。 【渡辺】彼、岐阜出身だから、岐阜で撮るといい。お城もあるし。 【アンセル】岐阜で時代劇撮ります(笑)。謙さん、舞台はどうですか? 【渡辺】それはいいね、ぜひ! ■ハリウッド共同制作オリジナルドラマ『TOKYO VICE Season2』 明調新聞のアメリカ人記者ジェイク・アデルスティーン(アンセル・エルゴート)はクラブのホステス、ポリーナ(エラ・ルンプフ)が殺害された事件の裏にヤクザの戸澤(谷田歩)が関与しているとにらみ、刑事の片桐(渡辺謙)と組んで調べを進める。サマンサ(レイチェル・ケラー)は自分のクラブを開店するが千原会からの干渉に悩んでいた。 一方、腹を刺された千原会の佐藤(笠松将)は無理やり退院し、彼を刺した若いヤクザは戸澤組に接触。ヤクザの世界で何かが動き始めていた…。 『TOKYO VICE Season2』 WOWOWにて放送・配信中(毎週土曜 後9:00、全10話)。『TOKYO VICE Season1』(全8話)はWOWOWオンデマンドにて配信中。