「怪談奇聞」第1回の舞台は那覇の遊郭・渡地（わたんじ）跡。今の那覇港内にあたる＝2024年8月14日、那覇市通堂町

日本の夏の風物詩と言えば怪談。特にきょう16日から始まった旧盆の頃は、沖縄では「足を引っ張られるから海に入ってはダメ」と注意されたり、テレビで心霊特集の特番が放送されたりと、怪談めいた話題がそこここで聞こえる時期です。背筋がぶるっと震える怖い話で涼を得ようとするのは、今も昔も同じようです。 「怪談奇聞」第一話。娼妓の亡霊に頼まれたことは 明治から大正に改元した1912年8月5日、沖縄の地元紙「琉球新報」で突如「怪談奇聞」という連載が始まりました。読者に投稿を呼び掛け集めた怪談・幽霊譚を同年9月8日まで34回にわたって連載。内容の多くは投稿者自身の体験談や伝え聞いた“実話系”怪談でした。連載3回目にして「募集するやたちまち人気を呼びすでに五六種の投書を得」たとあり、その人気ぶりがうかがえます。 娼妓の亡霊と出会い、女学生が大入道に変化し、ヤギの精に出くわす－。今聞くと、まるでおとぎ話のような「体験談」ばかり。琉球王国から沖縄県へと変化していった当時の人たちにとっては“リアル”な怪談だったようです。