【鉄路と生きる】阿武急より身近に 福島学院大と協定 イベント列車や駅舎活用 学生の発想生かしPR
阿武隈急行と福島学院大は連携して福島、宮城両県を結ぶ第三セクター鉄道・阿武隈急行線の利用を促進する。学生のアイデアを生かした貸し切りイベント列車の運行や駅舎を拠点とした情報発信などを展開し、住民に「阿武急(あぶきゅう)」をより身近に感じてもらう。通勤・通学など住民の足として欠かせないが、沿線人口の減少などで利用は低迷している。学生の柔軟な発想と大学の専門的知見を生かし、鉄路を盛り上げる。5日、包括連携協定を締結した。 取り組みの第1弾として、福島市の宮代キャンパスなどで11月に開かれる全国ろうあ青年研究討論会で臨時列車を運行し、学生がプラカードなどで参加者を会場まで案内する。続いて、大学の認定こども園をはじめとした沿線の幼稚園や保育園の園児、住民らが楽しめる列車の貸し切りイベントを年数回、開催する。学生が企画から実行までを担う。 駅舎を生かした情報発信なども今後、検討していく。桜田葉子学長は「取り組みを通して学生の実践力を磨きたい」と語る。
宮代キャンパス近くの福島学院前駅は学生と教職員400人超が通勤・通学に利用している。地域マネジメント学科2年の黒須大輝さん(20)は昨年5月に宮城県角田市など沿線自治体の学生らと共に「あぶきゅう応援団」を結成し、沿線の活性化に向け住民との意見交換会を開催するなどしてきた。阿武隈急行などと一緒に乗車ツアーも実施した。今回の連携協定を受け、「地域に根差した鉄道の良さを感じてもらえるように活動していきたい」と意気込んだ。 協定締結式は宮代キャンパスで行われた。桜田学長と協定書を交わした阿武隈急行の冨田政則社長は「若い発想を取り入れながら沿線の活性化に向けて協調していきたい」と誓った。 阿武隈急行線は福島―槻木(宮城県柴田町)駅間の全24駅54・9キロ。2023(令和5)年度の利用者は190万人で、5億1千万円の赤字だった。