サムスン電子が、昨年第4四半期でのメモリー半導体の需要回復に力づけられ、半導体事業での営業損失を2兆ウォン（約2200億円）台に減らした。サムスン電子は今年第1四半期で半導体事業を黒字に転換するとの予想を示した。 　サムスン電子メモリー事業部のキム・ジェジュン戦略マーケティング室長（副社長）は1月31日、2023年の第4四半期（10～12月）の実績説明会（カンファレンスコール）で「昨年第4四半期での需要回復や減産政策などによって、DRAMとNANDフラッシュメモリーの在庫がなくなった」とし、「生成人工知能（AI）関連の高帯域幅メモリー（HBM）などの需要に積極的に対応すれば、今年第1四半期のメモリー事業の黒字転換が予想される」と述べた。 　サムスン電子の半導体部門（DS）における昨年第4四半期の営業損失は2兆1800億ウォン（約2400億円）。半導体部門の赤字の規模は、昨年第1四半期（4兆5800億ウォン、約5000億円）にピークに達し、減産政策後は、第2四半期は4兆3600億ウォン（約4800億円）、第3四半期は3兆7500億ウォン（約4100億円）と徐々に減っていった。昨年の半導体事業での累積赤字の規模は14兆8800億ウォン（約1兆6000億円）にのぼる。 　ただし、半導体事業のうちDRAM事業については、昨年第4四半期に黒字に転換したと明らかにした。昨年第1四半期後に強化した減産政策の効果で在庫が減り、主要製品の価格も上昇したことによるものだ。ただし、ファウンドリ事業は、世界的な景気鈍化による顧客の在庫調整などの影響で赤字は続いた。キム副社長は「前四半期と比較して40％以上販売量が増えたHBMなどの将来の需要を考慮するなど、選別的な生産調整を通じて、収益性改善に集中していく」とした。ファウンドリ事業部のチョン・ギボン事業部チーム長（副社長）は「多くのオンデバイスのAI製品の発売が、今後のファウンドリの需要に大きく寄与することになるだろう」と述べた。SKハイニックスと競合している高帯域幅メモリー3（HBM3）が、今年の下半期にはHBMの販売の全体の90％を占める見通しで、次世代製品（HBM3E）の量産準備も上半期に終える計画であることもサムスン電子側は強調した。 　スマートフォンや家電などを担当するデバイス・エクスペリエンスデバイス（DX）部門では、昨年第4四半の売上は39兆5500億ウォン（約4兆4000億円）、営業利益は2兆6200億ウォン（約2900億円）を記録した。スマートフォン事業（MX）での営業利益は2兆7300億ウォン（約3000億円）で、新モデル発売効果の低迷で前四半期に比べ営業利益は約18％減少した。テレビ事業も競争激化や需要停滞などの影響で500億ウォン（約55億円）の営業損失を記録した。ディスプレイ事業はアップルのiPhone15の受注の恩恵で、売上は9兆6600億ウォン（約1兆1000億円）、営業利益は2兆100億ウォン（約2200億円）を出し、電装事業を担当する子会社のハーマンは、売上は3兆9200億ウォン（約4300億円）、営業利益は3400億ウォン（約3700億円）と成長の勢いを継続した。 　サムスン電子の昨年の年間の営業利益は6兆5700億ウォン（約7200億円）、売上は258兆9400億ウォン（約28兆5000億円）。年間の営業利益が10兆ウォンを下回ったのは、2008年の世界金融危機（6兆319億ウォン、約6600億円）以来15年ぶり。専門家らは、今年は急速な営業利益の回復傾向がみられるだろうと予測している。 　現代自動車証券のノ・グンチャン研究員は「高付加価値のあるHBMの生産能力を2.5倍以上増設し、エヌビディア（NVIDIA）やAMDなどへの供給の拡大が予想されるなど、営業利益の上昇要因は大きい」と判断した。DB金融投資のソ・スンヨン研究員は「AIサーバとモバイル顧客のメモリー需要の増加でメモリー価格の上昇の勢いは続き、30兆ウォン台の年間営業利益を達成するだろう」との見通しを示した。昨年に比べ今年の利益の規模は4倍以上増えるということだ。 オク・キウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )