久留米絣の装飾があしらわれた2階通路の柱

　西鉄久留米駅ビル（福岡県久留米市）の商業施設で進められていた大規模改装工事が終わり、今月、「レイリア久留米」として全面開業した。大規模改装は約40年ぶりで、飲食店などの店舗数が大幅に増えたほか、地元の伝統工芸品・久留米絣をモチーフにしたデザインを内装に取り入れた。まちの玄関口が一新されたことで、さらなるにぎわい創出と駅周辺地域の活性化が期待される。（佐々木道哉） 【写真】大規模改装を終え、全面開業した「レイリア久留米」

　西鉄久留米駅は、1日当たりの乗降者数（2023年度）が約2万9200人で、西日本鉄道の駅で4番目に多い。現在の駅ビルは1969年に開業。6階建てで、2階に改札口があり、1階にバスセンターを併設する。

　完成から50年以上が経過し、老朽化で商業施設の魅力が低下したことや、通勤や通学で利用する会社員や学生を呼び込めていないことなどが課題となっていた。

　大規模改装は、1983年に施設名を「西鉄名店街」から「エマックス・クルメ」に改称した時以来となる。高架橋の耐震補強工事に合わせて計画され、2022年9月から1、2階部分で段階的に進めてきた。事業費は約17億円。

　改装により、駅ビル全体の店舗数は29店から60店に倍増。1階のスーパー「にしてつストア久留米タミー店」が「レガネット久留米タミー」に生まれ変わったほか、久留米初出店の唐揚げ店やクッキー専門店、輸入食品専門店などが入る。2階には、地元の人気ラーメン店「清陽軒」などが出店するフードコート（約200席）を設けた。

　また、1階の壁面や2階の通路の柱などに久留米絣をあしらった装飾を施し、地域色を出した。施設名のレイリアは、英語の「RAIL（線路）」とイタリア語の「ARIA（空気）」などを組み合わせた造語で、「人と人、人と地域の縁をつなぎ、空気のように身近な存在の施設でありたい」との願いが込められている。

　今月12日に1階の飲食店や菓子店、弁当・総菜店など15店舗がオープンし、全面開業にこぎ着けた。西鉄の担当者は「飲食店を増やしたので、会社帰りなどにちょっと立ち寄ってもらえるような施設にしていきたい」と話している。