【大学駅伝】最後の箱根路/「このチームのキャプテンで本当に幸せ」城西大・野村颯斗 総合3位に弾みつけたスタートダッシュ
2024年、最後の箱根駅伝を終えた大学4年生ランナーたち。納得のいく走りができた選手や悔いを残した選手、なかにはアクシデントでスタートラインにすら立てなかったエース級もいる。お届けするのは、そんな最上級生たちの物語――。 第100回箱根駅伝総合、往路、復路成績&区間賞をチェック!
ケガに苦しむも、信じてトレーニングを継続
城西大史上最高となる総合3位への快進撃は、主将の快走から始まった。 2年連続1区の野村颯斗(4年)が区間3位の走りで上々の滑り出し。好調のチームに弾みをつけた。 4年生のうち、前回の箱根駅伝で走ったのは3人。1区を野村、5区を山本唯翔、10区を山中秀真が担当し、シード権を獲得。9位のゴールテープを切る山中を迎えたのは野村と山本の2人だった。 「3人でチームを引っ張っていこう」と話してスタートしたシーズンで、野村は主将となり、チームをまとめる立場になった。シード権を獲得したことで、「総合3位」の目標がチーム全体に浸透し、一人ひとりの行動も変化。「キャプテンとして苦労したことはないです。正直自分は何もしてないです」というほど、全員が意識を高く取り組める状況ができていた。 「自分の性格もありますけど、みんなに任せて特に何もせずという感じでした。目標設定も各自に任せてやっていたので、それが自主性になって、成長につながったのかなと思います」と話す。 前回は1区を走り、区間11位。ラスト2~3kmでのペースアップに課題を感じ、それを自分のテーマとして練習に取り組んできた。しかし、特に前半シーズンはけがに苦しんだ。3月から4月にかけては左ふくらはぎの肉離れがあり、2ヵ月間まったく走れていなかった。 いつレースに出られるかわからない不安の中でも、「最低限、箱根駅伝には合わせよう」と走る以外のトレーニングを継続した。5月に復帰すると1ヵ月の急ピッチで仕上げ、6月の全日本大学駅伝関東地区選考会に出場。3組で1着となり、トップ通過に貢献した。 だが全日本選考会後に今度は左の中足骨の疲労骨折が発覚。8月上旬まで走れなかったが、この時は「出雲駅伝にも出たい」という気持ちで走れない時期を乗り切ってきた。