【香港】日本酒コンクール、新澤醸造店が最高賞
香港の日本酒コンクール「オリエンタル・サケ・アワード2024」の授賞式が15日、在香港日本総領事公邸で開かれ、新澤醸造店(宮城県大崎市)の出品酒が最高賞の「サケ・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。授賞式には各部門の最優秀賞を受賞した蔵元の代表者らが出席。主催者はコンクールをきっかけに、受賞者の日本酒が香港で広がることに期待を示した。【菅原真央】 オリエンタル・サケ・アワードは香港の日本酒業界団体、日本酒業連合会が主催するアジア最大級の日本酒コンクールで、2022年から香港で開催されている。アジアの消費者に好まれる日本酒を選出し、酒蔵のアジア市場への輸出戦略の一助となることが目的。今年は143蔵から503点が出品された。 「純米大吟醸/純米吟醸(淡麗)」「純米大吟醸/純米吟醸(芳醇)」「大吟醸/吟醸(淡麗)」「大吟醸/吟醸(芳醇)」「本醸造」「純米酒(旨味濃醇)」「純米酒(淡麗)」「スパークリング」「生酒」の9部門で、それぞれ金賞、銀賞、銅賞が選出され、最高得点の出品酒が「部門チャンピオン酒」となる。サケ・オブ・ザ・イヤーは部門チャンピオン酒の中の最高賞。 授賞式には部門チャンピオン酒または都道府県の最優秀賞に選ばれた酒を出品した◇小澤酒造(東京都青梅市)◇島岡酒造(群馬県太田市)◇清水清三郎商店(三重県鈴鹿市)◇瀬戸酒造店(神奈川県開成町)◇高の井酒造(新潟県小千谷市)◇鶴見酒造(愛知県津島市)◇新澤醸造店◇八戸酒造(青森県八戸市)◇平和酒造(和歌山県海南市)――の9蔵の代表者が出席した。 岡田健一総領事(大使)は「日本酒という日本の文化を通じて日本と香港の関係、日本とアジアの関係がさらに深まることを期待する」とあいさつ。日本酒業連合会の陳銘基(ミッキー・チャン)会長は「今年の受賞酒には品質へのこだわりと専門技術が詰まっている。コンクールを通じて受賞酒が香港のマーケットに広がり、多くの人に素晴らしい日本酒を楽しんでもらえれば幸いだ」と述べた。 ■輸出拡大の弾みに サケ・オブ・ザ・イヤーに選ばれたのは新澤醸造店の「愛宕の松 スパークリング 瓶内二次発酵」。杉原健太郎・専務取締役は「試作段階で腕試しで出品したので驚いた。今後はしっかり量産できるよう設備投資をして、輸出できる商品にしていきたい」と話した。 新澤醸造店は4部門で計11点が金賞を獲得し、うち2部門では部門チャンピオン酒にも選ばれた。最優秀酒蔵賞、県最優秀賞にも輝いている。サケ・オブ・ザ・イヤーの受賞酒は試作品だが、その他の受賞酒の中には既に香港に流通しているものもあり、輸出には10年前から取り組んでいる。杉原氏は「香港は日本酒を取り扱う人の理解が進んでおり、日本に一番近い品質で飲むことができる」と指摘した。 初参加の鶴見酒造は、大吟醸/吟醸(芳醇)部門で「我山 大吟醸」が部門チャンピオン酒に輝いた。山本耕司・代表取締役社長は「当社の酒だけでなく、日本酒全体をアジアのマーケットに広げていきたい。輸出は交渉中だが、今すぐにでもしたいと考えている」と意気込んだ。