自然への畏敬や祈り描く 諏訪地域の信仰や暮らしの記録映画 2024年3月の完成目指し撮影中
諏訪地域の信仰や暮らしを記録する映画「鹿の国」が地元の茅野市などで撮影されている。伊那市出身の映像作家、北村皆雄さんが代表を務める映像制作会社「ヴィジュアルフォークロア」(東京)が文化庁の「日本芸術文化振興基金」の助成で製作。昨年秋から諏訪大社の神事などを撮影しており、来年3月に完成する予定だ。 【写真】諏訪大社下社御柱祭の里曳き。多くの氏子が力を合わせる
記録映画は、自然とともに暮らし、時代の変化に柔軟に対応してきた諏訪地域独自の精神性を伝える作品。今月上旬、茅野市泉野の農閑期の共同作業場「穴倉」で、中世まで諏訪大社上社前宮で行われていた五穀豊穣(ほうじょう)を祈る芸能の様子を再現して撮影が行われた。
撮影には、諏訪地域の歴史や文化の調査研究に取り組む大昔調査会(諏訪市)の会員ら十数人が協力した。狩衣(かりぎぬ)などの衣装を着用し、神職や村人の役で出演。穴倉内のいろりを囲みながら、太鼓や笛の演奏に合わせて歌ったり舞ったりする場面を撮影した。
大昔調査会メンバーの石埜三千穂(いしのみちほ)(59)さん=下諏訪町=は神職役として出演。「宴の楽しさを、身をもって感じた。昔の人たちもきっとこんな風に楽しんだんだろう」と思いをはせた。
映画は今回撮影した芸能の場面のような再現映像を交えながら構成するという。ヴィジュアルフォークロアのプロデューサー弘理子(ひろりこ)さんは「諏訪信仰を通して自然への畏敬や祈りの姿を伝えたい」と話している。