エミー賞ノミネートなるか⁉ 真田広之渾身の主演・プロデュース 「SHOGUN 将軍」
ディズニープラスで配信中のドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」が、世界的にかなりの勢いでヒットしている。特に本国アメリカでは、エミー賞に真田広之、コズモ・ジャービス、アンナ・サワイ、浅野忠信ら主要キャストが軒並みノミネートされるという予想の声も多い(ノミネートの発表は7月17日)。 【動画】ハリウッドが圧倒的なスケールで描く 陰謀と策略渦巻く戦国スペクタクルドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」予告編
関ヶ原の戦いが起きた1600年の日本を舞台にしたフィクション
「SHOGUN 将軍」の原作は、イギリス出身の作家ジェームズ・クラベルが1975年に発表した長編小説「将軍」で、80年にもリチャード・チェンバレンと三船敏郎の主演でドラマ化されている。関ヶ原の戦いが起きた1600年の日本を舞台にしたフィクションであり、登場人物も架空の名前に変えられているが、日本の視聴者であれば、おおまかに豊臣秀吉の死から徳川家康と石田三成が対立していく史実の流れに沿っていることに気づくはずだ。 コズモ・ジャービスふんするイギリス人航海士のブラックソーンは、徳川家康に仕えたイギリス人ウィリアム・アダムス(三浦按針)がモデルで、西洋人が日本のサムライ文化を発見していく目の役割を果たす。 ただしブラックソーンは西洋人の代表とはちょっと違う。異国の文化が理解できず野蛮に感じることもあれば、むしろ自分たちのほうが野蛮であることに気づいたり、切腹という奇異なものに哲学的価値を見いだしたりもする。ある種の独自の感性に基づいて、理解と衝突を繰り返し七転八倒するのだ。 この価値観のゆらぎがあるからこそ、本シリーズは非常に面白い。現代を生きるわれわれにしてみれば、もはや日常的な感覚や価値観は1600年のサムライよりブラックソーンに近いだろう。そして「どっちが正しいのか?」という倫理的追求を、ほとんどこの作品はしていない。 われわれ日本人も実は会ったこともないサムライとはこういう生き物であったのではないかと、まるで別次元の生き物として提示しているに近い。ブラックソーンは特にふたりの日本人女性と心を通わせるが、それも甘ったるい理解や共感ではなく、異質の価値観同士の袖と袖が触れ合った、というレベルを超えることはない。