人民元下落、対ドル許容変動幅の下限に接近-人民銀の対応誘発も
(ブルームバーグ): 中国人民元は3日、対ドルで下落。中国の通貨防衛は、当局がより強力な空売り対策を講じるきっかけとなるかもしれない節目を迎えつつある。
3日の人民元は一時0.1%安の1ドル=7.2364元と、中心レートの上下2%に制限されている対ドル許容変動幅の下限(7.2368元)に接近。この日の中心レートは7.0949元に設定されていた。
投資家は今や、直接的な介入からオフショア市場での積極的な流動性引き締めまで、あらゆる危険にさらされている。人民元がレッドライン(越えてはならない一線)である許容変動幅の下限に近づいたのはこの10年で計5回あるが、いずれも元相場の安定化のため、中国人民銀行(中央銀行)が積極的な介入に踏み切っている。
人民銀は景気てこ入れで十分な緩和策を維持しつつ、無秩序な資本流出を回避するのに十分な元相場の水準を維持しようとする微妙なバランスの中で、まずは徐々に反応し、それから唐突に行動を起こす傾向にある。つまり、緩やかな人民元安を容認していても、市場のパニックを防ぐために元相場を押し上げる措置にすぐに変わり得るのだ。
マネックス・ヨーロッパの外国為替分析責任者、サイモン・ハービー氏は「人民元安が続くと、投資家と消費者の信頼感が損なわれる結果、景気も圧迫され、当局の中長期的な経済的野心にとって逆効果になる」と指摘。「国有銀行を通じた疑似介入や規制の微調整、流動性状況の調節など、昨年終盤と似たような展開も予想される」と述べた。
中国人民元への下降圧力続く-経済データ改善でも相場押し上げならず
原題:Yuan Sinks Toward Limit of Allowed Range, Risking PBOC Pushback、China’s Yuan Weakens to Approach 2% Trading Range Versus Dollar(抜粋)
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Iris Ouyang, Tania Chen