能登半島地震1週間 関連死の対策急務、広域避難に切り替えを 天野和彦福島大特任教授に聞く
石川県で最大震度7を観測した能登半島地震は8日で発生から1週間となった。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を経験した福島県にとって、北陸の被災地が直面している困難は人ごとでない。震災の教訓を踏まえ今、どのような対応をすべきか。福島大人間発達文化学類の天野和彦特任教授(災害社会学)は「災害関連死を防ぐのが最も重要」と指摘し、「広域避難」の実施を訴える。現段階での支援は「募金が有効」とし、一般のボランティアは現地の受け入れ態勢が整ってからと呼びかけた。 ―能登半島地震発生後の状況をどう見ているか。 「幹線道路が寸断され、沿岸部は津波の被害を受けているので支援物資や救助、復旧の人員が現地に入りにくい状況が長く続いている。被災者への支援が滞っている大きな要因だ」 ―現地で今、最優先に取り組むべきことは。 「災害関連死を生んではならない。避難所は寒く、食料や物資が十分に届いていない事例もあると聞く。県や市町村が連携し、被害が比較的小さかった地域の旅館・ホテルなどを活用した広域避難に今すぐ切り替えるのが重要だ。被災者に一刻も早く温かい寝床と食事を提供してほしい」
―多くの人が「北陸の力になりたい」と考えている。 「現段階では一般のボランティアや個人からの支援物資を受け入れる態勢が現地に整っていない。今は専門のボランティア組織や公的な援助に任せる時だ。義援金等の寄付ならできる。皆さんの気持ちは決して無駄にならない」 ―防災意識をあらためて高めなくてはならない。 「震災を経て防災の大切さを認識した人は多いだろう。能登半島地震を機にもう一度、日頃の備えを確認してほしい。『共助』の基本になる住民同士のつながりの強化も大事だ。県や市町村には、災害発生時に被災者一人一人の状況やニーズを把握し必要な支援を提供する『災害ケースマネジメント』の推進を求めたい」