産経新聞ソウル支局長が出頭、大統領府の怒りを招いた理由は?
産経の記事を利用した韓国左翼
しかし、たとえスキャンダラスな内容だとしても、民主主義国家の韓国では報道の自由が保証されるべきではないのか。 重村教授はこれについて、韓国左翼の動きに注目する。「韓国側が国家権力を行使して刑法上の問題にするのは、報道の自由の観点からおかしい。だが、問題がここまで大きくなった背景には、産経の報道が韓国の左翼を間接的に応援したという面がある。これに保守派が激怒し、市民団体の告発につながった」。 韓国の左派が産経の報道を利用して、政権攻撃を強めようとしたことは否めない。事実、産経のソウル支局長を弁護しているのは、ハンギョレ新聞など左派メディアが中心だ。今年4月の旅客船・セウォル号沈没事件以降、60%以上あった朴槿恵政権の支持率は、一時40%台まで下落した。政権はこうしたなかで、市民団体の告発を受けるというかたちで報道に介入し、事態の改善を図ろうとした面もあるようだ。 毎日新聞のソウル特派員を7年間務めた重村教授はこう話す。「ローマ法王の訪韓で、韓国社会の話題も移り変わりつつある。韓国政府もこの件をあまり長引かせることはしないだろう。日韓関係に与える影響もそれほどない。韓国ではセンシティブな報道の場合、大統領府から新聞社に抗議が来る。各新聞社はその際に、丁寧に説明することが大切だ」 産経新聞の小林毅東京編集局長は18日付けで、「産経新聞のウェブサイトに掲載された当該コラムに韓国大統領を誹謗(ひぼう)中傷する意図はまったくない。内容は韓国国会のやりとりや朝鮮日報のコラムの紹介を中心に、韓国国内の出来事や動きを伝えることが目的である。 当該コラムが問題視されたことは理解に苦しむが、捜査には真摯(しんし)に応じる」などとするコメントを発表している。