家族の集まりは「感情的二日酔い」を引き起こすことも… 専門家がアドバイスするその対処法とは(海外)
年末年始と言った休暇に家族と集まるのは、ストレスを感じることもある。 あとから二日酔いの時と同じような気分になるかもしれない ── アルコールを口にしていなくても、だ。 政治をめぐって意見が食い違うにせよ、体重が増えた減ったと質問をかわすにせよ、家族の集まりを乗り切るのはまるで"感情の火薬庫"を扱っているような感覚になるものだ。そして翌日、吐き気や頭痛で目が覚める。 全ての兆候は二日酔いを示している ── アルコールを飲んでいないだけだ。この不快な症状は「感情的二日酔い」によるものかもしれないと、臨床心理士でThrive Psychology Groupを立ち上げたチャーリン・ルアン(Charlynn Ruan)氏はBusiness Insiderに語った。感情的二日酔いとは「激しい感情的状況の後に起こる身体的、感情的消耗」のことだという。 誰かと衝突したり、否定的なやりとりをすると、「神経系はアドレナリンとコルチゾールで満たされ、闘争、逃走、フリーズの状態になるかもしれません。それが脅威や困難を回避して進む役に立つのです」とルアン氏は続けた。激しい感情的体験の後には、疲労感や頭痛、ブレインフォグ(頭に霧がかかったようなボーッとした感覚)といった症状が現れるかもしれない。 「感情的二日酔い」は臨床的な診断名ではない。ただ、吐き気や疲労感はアルコールを摂取した時の症状に似ている。感情的二日酔いになりやすい要因や、ピリピリとした家族の集まりからの回復法について、Business Insiderでは2人の心理学者に話を聞いた。
感情的二日酔いの「引き金」
恐怖や怒りといった強い感情は、身体の自然なストレス反応を引き起こす。「ストレスが収まると身体は『クラッシュ』を経験し、疲労、吐き気、頭痛、イライラ、筋肉痛を引き起こすことがあります」とニューヨーク在住の心理学者ハリス・ストラティナー(Harris Stratyner)氏はBusiness Insiderに語った。 ルアン氏は、闘争、逃走、フリーズ反応を引き起こすような状況は、感情的二日酔いにつながることがあると説明している。例えば、パートナーと激しい口論をした後や親族間の対立を仲裁した後、あるいは幼少期のトラウマを思い出させる家や町に戻った後などには、疲れ果ててしまったり、ぼんやりしてしまうかもしれない。 つまり、感情的二日酔いの引き金は、解消されていない幼少期のトラウマや現在の葛藤に関係している可能性があるとルアン氏は言う。ストラティナー氏によると「後悔するようなことをした場合、罪悪感がいつまでも残ったり、感情が枯渇することがあります」とのことだ。 人前で失敗したり、動揺するような知らせを受けたり、仕事や家庭で責任を負い過ぎたり、恋人と別れるといったことも、感情的二日酔いを経験する引き金になるとストラティナー氏は言う。人間関係にのめり込めばのめり込むほど、感情的苦痛は大きくなる。 気まずい家族関係の他にも、騒音や混雑、旅行などが苦痛を増大させることもある。また、クリスマスや年末年始は経済的に無理をしたり、普段は避けているような家族や親戚と一緒に過ごすことになったりと、さらなるプレッシャーがつきまとう。
Nandini Maharaj