家庭教師役が起業家を熱烈指導 大阪市が新たなベンチャー支援策
次代の起業家生まれる循環型経済環境の実現目指す
家庭教師役が起業家を熱烈指導 大阪市が新たなベンチャー支援策 THEPAGE大阪
大手企業の幹部や先輩経営者らが家庭教師役を演じてベンチャー企業の成長を加速させる新しい起業家支援制度を大阪市経済戦略局が導入し、大阪市北区の大阪イノベーションハブでこのほど、第1期参加企業によるプロジェクト発表会が開催された。メンターと呼ばれる約100人の家庭教師役が創業前後のベンチャー企業を熱烈指導。自立に成功した企業群から、次代の起業家や成長分野が生まれる循環型経済環境の実現を目指す。
100人のメンターが少数精鋭の起業家を鍛え上げる
この支援制度は「シードアクセラレーションプログラム」。シードとは種で、創業前後のベンチャー企業を指す。地域に活力や雇用を生み出す可能性を秘めている。 半面、すぐれた技術や事業プランを掲げて会社を立ち上げても、リーダーに実践的な経営ノウハウが不足している場合、事業が軌道に乗る前につまづいてしまいかねない。初期のつまづきを防ぎ、成長を加速させるアクセルに相当するのが、アクセラレーションプログラムだ。 発表会では公募68社から選ばれたプログラム参加企業10社を公表。各社の代表者らが報道陣や支援関係者に事業内容をプレゼン。さらに個別取材タイムが設けられ、各社代表者らが取材に応じていた。
資源再利用の壮大なビジネスモデルを提唱
「ウィファブリック」(大阪市住之江区)は、人や環境にやさしくデザイン的にもすぐれた日本製品を、適正価格で提供するライフスタイルブランドRDFの普及浸透に挑む。 廃棄され倉庫に眠る素材に、スタイリッシュなデザインで新しい命を生き込む資源再生型事業と、オーガニックやフェアトレードなど素材の調達段階から人や環境にやさしい製品づくりを進める環境保全型事業の2本立てだ。 すでに今治のタオル、岡山のデニムなど、地場産業で培われてきた素材や生産技術と、心地よいデザインなどを組み合わせたRDF商品を開発。セレクトショップなどで支持を集め始めている。 福屋剛社長は「繊維製品だけで年間の廃棄量は世界で8000万トン、日本だけで170万トンに達している」と問題提起。そのうえで、「繊維や紙、木材・木製品などの限りある多様な資源を、有効に活用し切る生産流通体制を再構築する必要がある。当社独自の取り組みのほか、大手企業が自社商品の資源再利用などを推進する場合、要請があればビジネスパートナーとして協力したい」と、意気込む。 大量生産・大量消費・大量廃棄型のビジネスパラダイムに、転換を迫るインパクトがありそうだ。