70歳代でうらやましい貯蓄「3000万円以上」の夫婦世帯はどれくらい?2024年度「標準夫婦」のモデル年金額(月額)も紹介
厚生年金と国民年金の平均受給月額は?
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、平均的な年金額を見ていきます。 ●厚生年金の平均年金月額 〈全体〉:14万3973円 ・〈男性〉:16万3875円 ・〈女性〉:10万4878円 ※国民年金部分を含む ●国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額 〈全体〉:5万6316円 ・〈男性〉:5万8798円 ・〈女性〉:5万4426円 厚生労働省のデータによると、厚生年金の平均月額は14万円台、国民年金だと5万円台です。 一見すると、厚生年金のほうが多く感じられますが、実際の受給額は現役時代の働き方によって大きく異なります。 今からでも「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」を利用して、自分が将来どのくらい年金を受け取れるのか、確認しておきましょう。 年金だけで老後の生活を賄えるかどうか不安を減らすためには、今からの準備が大切です。
【2024年度】厚生年金と国民年金は2.7%増額
公的年金は、物価や現役世代の賃金によって毎年金額が調整されます。 厚生労働省から発表された、2024年度(令和6年度)の年金額は、下記のとおりです。 ●2024年度の年金額(月額)の例 ・国民年金(満額):6万8000円(+1750円) ・厚生年金※:23万483円(+6001円) ※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で 40年間就業した場合に受け取り始める「老齢厚生年金」と「2人分の老齢基礎年金(満額)」を合わせた金額。 この「モデル夫婦」の場合で、一人分にすると、厚生年金は月額16万2483円となります。 転職や年収の変動で個人差があるため、自分の年金額を正確に知ることが大事です。
老後資金を準備するための3STEP
今回は、70歳代・二人以上世帯で「貯蓄3000万円以上を保有する世帯の割合」や、今のシニア世代が受け取る年金額のデータを確認してきました。 貯蓄については、約2割の世帯が3000万円以上を貯めている一方、中央値は700万と楽観視できる老後資金ではないことも見えてきました。公的年金も、現在の水準が将来維持されるかはわかりません。 冒頭でも触れた「人生100年時代」「超長寿社会」に老後を迎える私たちは、親以上の世代とはかなり状況が異なる社会を生き抜いていかなければならなそうです。将来を見据えて丁寧な老後の準備を進めていく必要があるのではないでしょうか。 厚生労働省は9月17日に「百歳高齢者表彰の対象者は47,888人」としてプレスリリースを発表しました。 その中で、住民基本台帳に基づく100歳以上の高齢者の総数は9万5119人となっています。 さらに男女比を見てみると、約88%が女性となっており、特に女性にとっては長生きへの備えは待ったなしといえるのではないでしょうか。 FPである筆者のもとにも、老後資金を準備したいという女性の相談は非常に多いです。 それでは、老後資金を準備していく上で、どのようなことに気を付けていけば良いのでしょうか。大きく分けると以下の3つがポイントになります。 1.目的・目標の明確化 2.目的に合った運用手段を選ぶ 3.投資の原則を守る 1については、将来どのような生活が送りたいのか、そこから老後の生活費を逆算し、年金収入で足りない分があれば、それが「準備すべき老後資金」になります。 2については、現在NISAやiDeCoなど多様な資産運用手段があります。それぞれの特徴やリスクも踏まえて、自分に合ったものをうまく組み合わせていきましょう。 3については、いわゆる「長期(なるべく長く)」「積立(コツコツ)」「分散(幅広く)」です。この中では、特に「長期」で継続することが最も重要で、最も難しいと筆者は感じています。 理由は様々ですが、どうしても運用には値動きがあります。増えたらどうしても売却したくなりますし、減っても怖くなってやめたくなります。中には健康問題から収入が減少し、運用どころではなくなる方もいらっしゃいます。 ご自身の資産運用を長く続けていくためにも、長期投資への理解と健康管理は、老後の資産運用の両輪となるのではないでしょうか。 ●【ご参考】70歳代・二人以上世帯の貯蓄額一覧表(金融資産を保有していない世帯を含む) ・金融資産非保有:19.2% ・100万円未満:5.6% ・100~200万円未満:5.1% ・200~300万円未満:4.3% ・300~400万円未満:4.7% ・400~500万円未満:2.5% ・500~700万円未満:6.2% ・700~1000万円未満:5.8% ・1000~1500万円未満:10.2% ・1500~2000万円未満:6.6% ・2000~3000万円未満:7.4% ・3000万円以上:19.7%
参考資料
・金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」 ・厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」 ・厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 ・内閣官房「⼈⽣100年時代構想会議」 ・厚生労働省「百歳高齢者表彰の対象者は47,888人」
小沼 大助