若手社員の前で「嫌い」「苦手」「ダメ」は禁句…5年前にはなかった“驚愕の新傾向”
若手社員の前で「嫌い」「面白くない」といった否定的な表現を使ってはいませんか? 実はこれ、若手部下への「やってはいけない」NG行動の一つです。若手社員の前で否定的な主観を晒してはいけません。若手社員育成専門コンサルタント・伊藤誠一郎氏の著書『部下に「困ったら何でも言ってね」はNGです』(日本実業出版社)より一部抜粋し、見ていきましょう。
上司の「ちょっとした悪態」を、若手社員は他人事と思わない
私が講師を務めた、ある新入社員研修で印象的な経験をしたことがあります。 午前中は全員が集中力を持って取り組んでいたものの、午後のパートがはじまってから30分ほど経過すると眠気に襲われている受講者が多数見られてきました。 そこで、私は余談として1つの話をしました。 「人に物事を伝えるためには共感が重要だ」ということを説明するために、若者によく知られている2組のお笑いコンビを例に挙げました。 コンビAは正統派の漫才でわかりやすいネタを武器にトーナメント形式の番組で歴史的な高得点で優勝しました。コンビBも同じ番組で優勝しましたが、正統派というよりもしらけた雰囲気を逆手に取ったスベリ芸を売りにしており、私としてはあまり笑えない漫才という印象を持っていました。 そして、コンビAが笑える要因は、ネタの設定やキーワードが日常的で身近なものが多く誰もが共感できるからであり、コンビBはその真逆なのでまったく笑えないという話をしました。 あくまでも午後の眠気覚ましの余談として、多少は研修のテーマに関連する事柄について気軽に話しただけでした。期待通り、受講者の半開きの目が大きくなり、私はひと呼吸入れた効果はあったという認識でいました。 しかし、事後のアンケートで驚愕の事実が待ち受けていました。 「研修の内容と説明はとてもわかりやすくいろいろな学びはあったが、お笑いの話は受け入れられなかった。お笑いは個人の趣味があり、コンビBが好きな人もいると思うので講師が一方的に決めつけるのはいかがなものか」 このように記載をしたうえで、講師の評価「1点」と最低点をつけた受講者が30人中3人いました。実際に訴えてきた受講生は1割でしたが、同じように抵抗感があったのは半数以上だったかもしれないと思いました。 最近の若手社員は「嫌い」「苦手」「ダメ」というネガティブな表現に抵抗感を持つ傾向があるのです。こうした傾向は、ここ数年の若手社員のみに見られるものであり、5年前や10年前にはありませんでした。