京都の世界遺産・二条城で18年ぶり、皇室ゆかりの「本丸御殿」が一般公開へ
■ 格式により異なる、美しき237面の障壁画
「御書院」だけでなく、居室や寝室、浴室(御湯殿)などが設けられた日常を過ごす場である「御常御殿」、家来たちが使用した「台所」に現存する、部屋の格式により異なる237面の障壁画(原画)も見どころだ。手掛けた京狩野・円山派・四条派など絵師たちは、京都御所の障壁画も手掛けている。 本丸御殿の障壁画の価値について、二条城担当者は、「宮家の御殿と一緒に各部屋の障壁画がすべて残っています。しかも、手掛けた絵師やどの時代に描かれたなども当時の史料で裏打ちされ、おおよそ分かっている点が貴重です」と説明。さらに離宮として大事にされてきた経緯から、建物と一緒に非常に良い状態で残っているのが最大の特長だという。 過去には春と秋の期間限定でしか公開されていなかったこともあり、良好な保存状態である障壁画だが、9月からの初の試みである通年公開にあたって、環境の変化が与える影響を調査し、データを取りながら、慎重に公開を進めていく方針だ。 ほかにも、部屋や廊下など随所に用いられた唐紙や明治から大正期に取り付けられた絨毯やシャンデリアなどの西洋のエッセンスを取り入れた近代の宮廷文化の華やかさも見どころだ。 「元離宮二条城」本丸御殿は、9月1日から一般公開開始。約15人の少人数観覧で、事前予約・時間指定のWEBチケットの購入が必要。一般1000円(入城料、二の丸御殿観覧料、本丸御殿観覧料の合計:一般2300円)ほか。詳しくは公式サイトにて。 取材・文・写真/いずみゆか