特集「キャッチ」中洲の夜間保育園 園長は現役のスナックのママ「中洲で働く親も子どもも安心できる場所を」 福岡
子どもひとりひとりの気持ちに寄り添う園長の草野さんには、もうひとつの顔があります。 別の日の夜9時、髪を結い上げ、着物を着た草野さんの姿がありました。 ■草野さん 「今からは中洲の方のお店に出て、お仕事してこようと思います。」 草野さんは、保育園の園長でありながら、今も現役の中洲の「ママ」なのです。 ■草野さん 「中洲には私は18歳から働き出して、1人目の子を出産した時、生後5か月で託児所に子どもを預けたのが始まり。」 22年前、わが子の預け先を探していた草野さんは、見学に訪れた園で、子どもを放置するだけの、到底「保育」とは言いがたい光景を目の当たりにし、衝撃を受けました。 「お母さんも子どもも安心できる場所を」と中洲で働きながら保育園づくりに奔走し、7年前、50歳の時にマミーハウスを立ち上げました。 保育園の園長となった後も現役の「ママ」を続けるのは、子どもを預けに来る母親たちと同じ目線を持つことを大切にしているからです。 ■草野さん(マミーハウス園長/スナックママ) 「同じ中洲で働く女性として、いつもつながっていたい。お母さんたちの気持ちとか思いが、現場に立つことでより深く感じられるかなと。」
「園長」としても「ママ」としても一線で汗をかき続けてきた草野さんは、新型コロナの感染拡大が落ち着きを見せた去年から「変化」を実感しています。 ■草野さん 「1歳未満の子どものの問い合わせが多くて、この1年ぐらい。今まではコロナ禍で仕事がないと諦めていたお母さんたちが、コロナ禍が明けて子どもを預けられたら今すぐにでも働きたいと。だから経済状況もあまりよくない。」 0歳児の預かりは、コロナ前は3人でしたが、今は9人にまで増えました。 利用者のなかには、幼い子どもを夜に預けることに罪悪感を持ってしまう人もいます。
葛藤を抱えて働く母親に、草野さんは、苦しい状況を抱え込まず親自身も幸せになれる方法を一緒に学ぼうと伝えます。 ■草野さん 「やっぱり愛しかないから。たくさん愛を伝えてほしいなと思う。それにはお母さんが幸せじゃないと、子どもって幸せじゃないから、子どもだけの成長ではなくて、母親も一緒に成長していく必要がある。そういうところをサポートしていきたい。」 この日もまた、仕事を終えた母親が子どもを迎えにやってきました。 ■保護者 「夜も昼も変わらないので、元気よく育ってくれれば。健康に育ってくれれば何も言うことはないですね。」 親も子もともに成長していけるように、夜間保育園がそっと背中を押してくれています。