『ブギウギ』水上恒司の“器”を制作統括が絶賛 第16週は「家族になる」が大きなテーマに
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。 【写真】結婚を決めて旅立つ小夜(富田望生)を前に涙目のスズ子(趣里) 第16週、スズ子は喜劇王・タナケンこと棚橋健二(生瀬勝久)の舞台に出演することになり、稽古に追われる日々を過ごしていた。一方、小夜(富田望生)と久々に再会すると、自身の付き人をやめてアメリカ兵のサム(ジャック・ケネディ)と付き合っていると聞き、「あんたが小夜ちゃんをたぶらかしたんやな?」とサムに食って掛かる。 第74話ではサムの帰国が決まり、裏切られたと勘違いした小夜が「おれ恋人でもなんでもなかったんだ」とスズ子に泣きつく。しかしその後、サムは小夜にプロポーズ。聞く耳を持たずに反対するスズ子だったが、英語が堪能な愛助(水上恒司)によって、「スズ子さんのこと、小夜ちゃんの家族や思ったんやて。家族に捨てられたと聞いてたのに、スズ子さんが現れたから、なんやホッとした言うてたわ」と、サムの本音を知ることになる。 制作統括の福岡利武は「『ブギウギ』では、全体を通して他人でも信頼できて、愛せて、家族のようになれるんだ、というところを描きたいなと思っていました。スズ子と小夜は今までにいろいろとありましたが、これがすべてを積み重ねてきた結果かなと思っています」と話し、“家族”をひとつのテーマとして描くことは、ドラマの企画段階から決まっていたと明かす。 「スズ子が貰い子であることから始まり、いろんな人をちゃんと家族として捉えられるような人に育ってきた、というところはしっかり描きたいなと思っていました。スズ子の“お節介”がなせる技だとは思いますが、歌劇団に入っても、どんなところでも、みんなと家族的に繋がっていく。周りの人をどんどん家族にしていく物語にしよう、と。その中でも小夜との関係性は、強く描きたいと思っていました」 また一度はすれ違ってしまった小夜とスズ子の心が再び通じ合えたのは、愛助の存在があってこそ。福岡は「サムと小夜ちゃんを見る眼差しも含めて、水上さんは『愛助は本質がわかる人なんだ』と強く思っていたと思います。スズ子にも器の広さと包容力がありますが、愛助はまた違う形で器が広くて、素敵な人」と語り、「冷静で、違いのわかる男をカッコよく演じていただけたと思っております」と、柔らかさの中に芯がある水上の芝居を称賛した。 第75話では、スズ子と愛助がまさに家族として小夜、そしてサムと向き合う。同シーンについて、福岡は「若い世代の方ばかりでしたし、みんなで楽しく撮影していました。小夜ちゃんは、あるときは大泣きして、あるときは怒って、喜んで、びっくりして、という様々な感情を演じなければいけないところではありましたが、この日の撮影では、みんながリラックスしているようでした。小夜ちゃんもいい表情をしていましたし、スズ子はお母さんであり、お姉さんでもあり、本当の家族のように見えました」と振り返る。 小夜とサムは、まもなくアメリカへ。「富田さんと趣里さんはすごく仲良くなっていて、“それがすべて”という感じがします。『こうしようね、ああしようね』みたいなことはなく、お互いにやりたいようにやった上で、しっかりと響き合うお芝居だったと思います」。福岡がそう語る、小夜とスズ子の別れのシーンに注目したい。
nakamura omame