「生きてる限り良くなっていきたい、諦めずに上り続けたい」のんが明かす創作への思いと夢
俳優・アーティストとして活躍するのんさんが、創作にかける思いと夢を語りました。 長編映画『Ribbon』(2022年)で監督・主演・脚本に挑戦したのんさんが、又吉直樹さんのエッセイ集『東京百景』にインスパイアされて作詞した自身の楽曲『夢が傷むから(Inspired by 東京百景)』(2023年)のMV(ミュージック・ビデオ)監督に挑みました。 【写真】自身のMVで監督・出演を務めるのん 又吉さんが綴った、かつての恋人との切ない恋物語に着想を得たMVで、監督だけでなく又吉さんの青年時代を演じたのんさん。「自信作」と語るMVの制作の裏側、留まるところを知らない創作への思い、そして今の時点での“夢”について聞きました。
又吉直樹のエッセイ『東京百景』にインスパイア「たとえ別れがきてもその先にも残っていくもの」
――「夢が傷むから(Inspired by 東京百景)」の歌詞は、又吉さんのエッセイ「東京百景」にインスパイアされて書かれたそうですが、どういった部分に惹かれたのでしょうか? 私がバンドでライブをするときのバンドマスターでギタリストのひぐちけいさんに楽曲依頼をして、その曲に私が詞を乗せるという流れがありました。作詞の参考にしたいので、けいさんに「どんなイメージで曲を作りましたか?」と質問したら、返ってきたのがまるで「東京百景」みたいなイメージだったんです。 けいさんからは、「すごく幸せだったこと、自分が相手のおかげで得たもの、影響されたものとかは、たとえ別れがきてもその先にも残っていくよね。それって大事なことだよね」というメッセージが返ってきて。「東京百景」の中に「池尻大橋の小さな部屋」という一節がありますが、「これってその話じゃん!」って、そのメッセージを読んだときに思い浮かびました。 もしかしたら、けいさんはちょっと違う角度から言っていたのかもしれませんが、私の中では「池尻大橋の小さな部屋」と完全にリンクして「それで絶対書く!」となりましたし、書くときにもう一度読み直してみても、「やっぱりそうだ!」って納得して書き進めました。 「池尻大橋の小さな部屋」からは、幸せなこと、相手のことが大好きで、影響を受けた大事なものがいっぱいあるけれど、「でもそれが痛い」みたいな部分にインスパイアされました。 ――歌詞はすんなり書けたのでしょうか? 自分で曲や歌詞を書くという音楽活動を始めてから、初めて自分以外の人のメッセージを書くということに挑戦したので、今までで一番時間がかかりました。これまでは、自分の中から出てきたものだったり衝動的なものだったり、自分が抱えている思いを吐き出してさらけ出すように歌詞を書いて、そこに主張やメッセージを乗せている感じだったので、あまり難しいと思うことがなかったんです。 でも今回は、「歌詞ってどうやって書けばいいんだっけ?」となっちゃって。けいさんからもらったイメージと又吉さんの素晴らしい文章があって、「そこからどうやって自分が発信するんだ?」となり、「ちょっともう無理です」みたいに怖気づいてしまいました(笑)。 バーッと叩きの歌詞を作っていって、「このワードは違うよね」ということを繰り返して、ブラッシュアップしていき、ずっと“発掘”している感じで書いていきました。完成したら、もう自信作!めちゃくちゃ気に入ってます!