“捜査資料の廃棄促す”文書も配布…鹿児島県警の体質に憤り 情報漏えい事件で“内部告発”情報受けたウェブメディア
「報道の自由と公権力巡る問題」と憤り
さなかの2023年秋以降、ハンターは2度にわたって鹿児島県警の「告訴、告発事件の処理簿一覧表」を入手した。 捜査の処理過程が記録されたもので、この資料から分かった情報をもとに、「事件捜査が歪(ゆが)められた」と批判的な記事をハンターは掲載した。 すると、鹿児島県警が異例の行動に出る。ハンターの事務所を家宅捜索したのだ。 中願寺代表は「令状には、地方公務員法違反、被疑者、藤井光樹と書いてありました」と話す。 この日、鹿児島県警は、処理簿一覧表を外部に漏らした疑いで、巡査長の藤井光樹被告を逮捕した(その後、懲戒免職)。 さらに、県警はハンターの事務所で押収したパソコンから別の告発文を発見。この告発文こそ、「本部長の隠ぺい指示を明らかにしたい」と元幹部の本田容疑者が外部に送ったとされる内部文書だったのだ。 本田容疑者は、この内部文書をハンターに寄稿する北海道の記者に送り、そのデータを中願寺代表が2024年4月初旬に受け取ったとされる。 中願寺代表は、「藤井巡査長の行動に、本田前生安部長が触発されたのではないか」と話す。ジャーナリストの鈴木哲夫さんは、「メディア、ジャーナリズムに対して、家宅捜索なんて絶対やってはいけない。我々は権力の向こう側に入って情報を取りに行く。報道の自由と公権力を巡る大きな問題」と憤りを隠さない。
資料廃棄促す“前代未聞”の隠ぺい指示
さらにハンターが入手した内部文書はもう1つ。鹿児島県警が2023年10月に発行した「刑事企画課だより」だ。 そこには「事件記録の写しについても保管の理由が説明できず、不要と判断されるものは速やかに廃棄しましょう」「再審や国賠請求等において廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」と記されてあった。 捜査書類の廃棄を促す内部文書を作成していたのだ。鹿児島県警は2003年の鹿児島県議選を巡り、全員の無罪が確定した「志布志事件」でずさんな捜査を非難された過去があり、12人の冤罪犠牲者を生んでいる。 文書は志布志事件の反省を受け、「適正な捜査徹底を目指して指導や支援を行う部署」として2007年に発足した刑事企画課が作成したもの。ハンターでは、前代未聞の隠ぺい指示と報じ、鹿児島県警は文書を訂正している。 中願寺代表に鹿児島県警の実情を尋ねると「全部、ウミを出すのは無理だと思います。ウミを出し切るかって言ったら出せないですよ、この体質では。無理」と最後まで否定的だった。 刑事訴訟法239条は、秘密に値しない不正や違法行為に関する情報なら、むしろ公務員に告発義務を課している。今後の展開に注目だ。 (テレビ西日本)
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