動かぬ証拠! 日本初、月面着陸のつめ跡
今後、太陽が西の位置になれば、太陽電池が発電し、機体の運用が再開される可能性があります。太陽電池自体が損傷しているかどうかも不明な状況ではありますが、JAXAでは2月1日までの運用再開を想定しています。着陸後に数日間予定していた「マルチバンド分光カメラ」と呼ばれる特殊なカメラで月面の岩石を分析する任務は、太陽電池の復活がカギを握ります。 着陸当日は対応に集中するため、記者会見を欠席した坂井プロマネ。自己採点を聞かれると「ピンポイント着陸は100点満点。まさに設計として見込んでいた通りの実力を発揮してくれた」と評価しました。一方の国中所長、当日は「ギリギリ合格の60点」と“辛口評価”でしたが、今回は? 「500ニュートンスラスタ(メインエンジン)が惜しかった。あと数分もってくれれば着陸できた」と無念さを見せながら、「SLIMに搭載されたマルチバンドカメラ、LEV-1、LEV-2が正確に動いたことで各1点加算して、63点でお願いします」……組織のトップたる国中所長の所以でしょう。「え? 渋っ」……私もそう思いながら、場内からは笑いが起きていました。
メインエンジンは今後の火星探査などでも不可欠の技術。異常の原因はしっかりと究明されなくてはいけません。宿題が少なからず突き付けられました。しかし、衝撃の月面画像など、多くのデータも獲得できました。チームは公式X(旧ツイッター)で「ホッとするとともにワクワクし始めている」と記していました。 記者会見は着陸直後から一転、柔らかな雰囲気に包まれました。まだまだ進行中のプロジェクトですが、「さらなる高みへ」……改めてエールを送りたいと思います。(了)