【陸上】競歩・池田向希「公正な結論が導かれるよう努める所存」ドーピング違反疑いに旭化成が潔白主張
旭化成株式会社は11月2日、競歩の池田向希が11月1日に世界陸連の独立不正監査機関、アスリート・インテグリティー・ユニット(AIU)から受けた暫定的資格停止処分に対して、疑惑の潔白を証明し、処分取り消しを求める対応をすることを文書で明らかにした。 旭化成から発表された本件に対するコメントをチェック 同文書では、AIUから処分を受けた経緯を説明。今年の6月28日に、前年6月から8月にかけてAIUが実施した血液検査値から、血液ドーピング(事前に採取した自身の血液を大会前に体内に戻すことで赤血球量を増やし、パフォーマンス向上を狙う方法)の疑いがあること、弁明がある場合は所定の期日までに提出すべきとの通知を受けたという。 それに対し、池田は7月24日にAIUへ弁明書を提出した。だが、AIUはアンチ・ドーピング規則違反として正式に立件すること、解決されるまでの間の暫定的資格停止処分を下すという通知を発表した。 この血液ドーピングと疑われた事象について、旭化成側は「世界アンチ・ドーピング機構が公表する禁止表国際基準に記載の禁止物質が検出されたものではありません」と前置き。そのうえで、池田の「血液検査においてヘモグロビン等の数値が限度を超えて変化したことに関するもの」であり、その際にAIUは「これが禁止物質、禁止方法の使用の結果であると考えられる場合には、その旨選手に通知し、当該変化が規則違反によるものでないことの弁明を求めることとしています」というルール説明を添えている。 そして旭化成サイドも、弁明のために国立スポーツ科学センターに保管されている血液検査データなどの情報収集や、スポーツドクターなど専門家に助力を依頼し、原因を独自に究明。「当時の池田選手の練習や生活の環境および体質、処方薬(「世界アンチ・ドーピング機構が公表する禁止表国際基準に記載の禁止物質を含むものではない」と補足)の副作用等により、血管内溶血や消化管出血が起きていたことによるものであり、血液ドーピングによるものではない」との見解を得たという。弁明書にもその旨を記載し、AIUに提出している。 今後は暫定的資格停止処分の取り消しを求める申し立てを行うとともに、規則違反を否認し、世界陸連懲戒委員会の審問を求める書面を提出する予定だ。 旭化成は「スポーツ界におけるドーピングには強く反対し、これを撲滅するためのAIUをはじめとする各種国際・国内機関の理念と活動を全面的に支持します」と表明する一方、今回の件に関しては池田に違反はないと真っ向から否定する。そこには、マラソンで五輪に複数回出場した宗茂・猛兄弟、1991年東京世界選手権金メダルの谷口浩美、92年バルセロナ五輪銀メダルの森下広一らを輩出してきた企業としての誇りとともに、「今回の事態を受けて、アンチ・ドーピングの理念とアスリートの正当な競技参加が両立されるためにできることがないか」と、ドーピング撲滅への姿勢が強く示された。 池田自身も「全く身に覚えのない理由で今後の試合に出場できないかもしれない状況となり、たいへん困惑しております。今後真実が明らかになり、公正な結論が導かれるよう引き続き努めてまいる所存です」とコメント。AIUの今後の判断が待たれる。
月陸編集部