韓国野党が首相の弾劾案提出へ 戒厳令巡り
韓国の最大野党「共に民主党」は24日、韓悳洙(ハンドクス)大統領代行(首相)に対する弾劾訴追案を26日にも国会に提出すると明らかにした。同党は、韓氏が尹錫悦(ユンソンニョル)大統領(職務停止中)が3日に「非常戒厳」を宣布する直前の国務会議(閣議)に出席したことが内乱罪に当たり、弾劾訴追の条件を満たすと主張している。 【図解】尹氏に対する検察捜査の想定される流れ 同党は24日、戒厳令について捜査するための特別検察官を任命する法律の公布などの要求に韓氏が応じなかったとして、同日に弾劾案を提出すると発表。だがその後、26日まで首相に時間を与えるとして提出を取りやめた。 同党は国会の過半数を占める。首相への弾劾案は過半数の賛成で可決されるが、与党「国民の力」は大統領の弾劾案可決の条件を適用して3分の2以上の賛成が必要だと主張する。野党の議席は3分の2未満だ。 韓国メディアによると、この点について国会の立法調査官は23日、過半数の賛成で可決されるとの見解を示した。だが共に民主党出身の禹元植(ウウォンシク)国会議長は24日、この問題について「私が判断する」と述べた。 弾劾案が可決されれば韓氏は職務停止となり、規定に基づき崔相穆(チェサンモク)・経済副首相兼企画財政相が大統領代行に就任する。政局のさらなる混乱は避けられない。 一方、尹氏を支援する石東炫(ソクドンヒョン)弁護士は24日、尹氏が25日に捜査当局に出頭しないとの見通しを示した。尹氏を内乱容疑で捜査する高官犯罪捜査庁(高捜庁)が25日午前10時の出頭を求めていた。聯合ニュースが伝えた。 石氏は「尹大統領は、(憲法裁判所での)弾劾裁判の中で、自らの基本的な立場を説明するのが先だと考えている」と述べた。高捜庁の出頭要請はこれが2度目。高捜庁は、尹氏が拒否を続ける場合は、裁判所に逮捕状の請求をすることも検討する。 国会での尹氏に対する弾劾案の可決を受けた憲法裁での審理は、27日に第1回の弁論準備手続きを予定している。憲法裁は各種の資料提出を求めているが、尹氏側は応じていない。石氏は、26日以降にこの問題について何らかの立場を表明すると述べた。【ソウル福岡静哉】