広島 九里悔し8回1失点の負け投手「先に点を与えてしまったので」 0-1も新井監督「昨年の対戦より各打者いい反応」
「広島0-1中日」(5日、マツダスタジアム) 広島は今季初の完封負けで、連勝が3で止まった。先発・九里亜蓮投手(32)は六回まで無安打投球も、八回に味方失策から先制点を献上。打線の援護に恵まれず今季初黒星となったが、8回4安打1失点(自責点0)と奮闘した。打線も相手先発・柳に苦戦。新井貴浩監督(47)は二回でリクエスト権を使い切る執念を見せたが、白星には結びつかなかった。 【写真】試合終了後、スタンドに一礼しベンチに戻る九里 悔しさがにじみ出てる 先手を奪われても気持ちは切らさない。八回2死三塁。九里は代打・中島の打球を体で止め、この日最後のアウトを奪った。圧巻の内容には不似合いな黒星。「先に点を与えてしまったので、何とか点を与えないようにと思って投げていた」とチームの敗戦を受け止めつつ、唇をかんだ。 序盤から文句の付けようがなかった。二回先頭の中田に死球を与えるも、続く細川を低め変化球で遊ゴロ併殺。以降は六回まで一人の走者も許さなかった。多彩な変化球を織り交ぜ、要所では強気に内角を攻めた。 六回まで無安打投球も「意識はしてないですね」と平常心を保って相手との勝負に集中した。七回は先頭の三好に初安打を許すも、大島を空振り三振。高橋周を投ゴロ併殺に料理すると、渾身(こんしん)のガッツポーズを繰り出して感情を表現した。 悔やまれたのは八回だ。無死二塁のピンチを招くと、細川の右前打を田村がファンブル。先制点を与える形となった。「反省するところは反省して、しっかり投げられるように準備したい」と右腕は懸命に前を向いた。 新井監督は「開幕戦もナイスピッチングだったけど、それ以上にナイスピッチングだった。何とか、勝ちを付けてあげたかったけどね」と好投を称賛。だからこそ、打線が援護できなかったことが悔やまれた。五回無死一塁では、菊池がファウルで粘るも結果は投ゴロ併殺。先頭打者を出した七回は、秋山がバント失敗で得点圏に走者を進められなかった。 柳とは昨季8度の対戦で3勝2敗も、防御率1・36と手を焼いた相手。指揮官は「好投手なので点を取るのは難しいけど、昨年の対戦より各打者、いい反応をしていたなと」と攻撃陣の姿を敗戦の中での収穫と捉えた。 この日は開幕投手同士の投げ合い。初回1死では矢野の二盗失敗に対して、二回1死は坂倉の二ゴロにリクエストを要求したが、いずれも判定は覆らず序盤でリクエスト権が消滅した。「向こうもいい投手だったからチャンスは少ないと思っていた。際どいのは、どんどんリクエストしていこうと思っていた」と新井監督は淡々とした口ぶりで、積極的に動いた意図を説明した。 連勝ストップの敗戦も、右腕の好投は色あせない。「チームが勝てるようなピッチングをしたい」と九里。次戦こそ、白星を手にする。 ◆柳VS広島 中日・柳の広島戦通算成績はこの日で32試合で14勝11敗、防御率2.39。昨季広島戦は8試合で2勝3敗と負け越しているものの、防御率1.36だった。同8月13日の対戦では柳に勝敗こそつかなかったが、“幻のノーヒットノーラン”となった9回無安打無失点の投球を見せた。