オスのザトウクジラが記録更新、南米からアフリカまで1万3千キロ超を移動
(CNN) オスのザトウクジラが南米沖からアフリカ沖まで1万3046キロ以上を旅して、クジラの移動の最長記録を更新した。太平洋とインド洋の間を移動する成体のオスが記録されたのも初めてだった。 研究結果はオーストラリアのサザンクロス大学などの研究チームが11日の学術誌に発表した。 このザトウクジラは2013年、南米コロンビア沖で最初に目撃され、数年後にそれほど離れていない場所で再び目撃された。しかし22年、アフリカ東部タンザニアのザンジバルに近いインド洋で観測されたのは予想外だった。 ザトウクジラの移動ルートは一般的に、片道で8000キロを超すこともある。しかしこのオスはその2倍近い距離を移動していた。 研究チームは市民や研究者が目撃したクジラの写真を投稿できるウェブサイト「ハッピー・ホエール」を利用して、クジラの移動パターンを追った。 長距離を移動することで知られるザトウクジラは一般的に、毎年同じ場所に戻って繁殖する。しかし今回のクジラの場合、太平洋とインド洋にある2つの繁殖場所の間を移動していた。 そうした移動の背景としては、社会的または環境的要因が考えられると研究者は推測する。 このオスはコロンビア沖でメスをめぐって別のオスと争っていたと思われ、競争が少ない環境を求めて移動した可能性がある。または、餌が少なかったためにこうした異例の移動になった可能性もある。 クジラは尾の下側の形状で個体を識別できる。海に潜る際に尾を持ち上げることから、その写真を撮れば誰でも識別に貢献できるという。