「替え玉保険金殺人」懲役30年を求刑 男子大学生にアルコール注入し殺害 完全黙秘の被告から謝罪の言葉
広島ニュースTSS
保険金を目当てに廿日市市のホテルで、男子大学生を殺害した罪などに問われている男の裁判で、検察は、有期刑では最も重い懲役30年を求刑しました。 広島市の職業訓練生、南波大祐被告(33)は、2021年11月、廿日市市のホテルで愛知県の大学生、安藤魁人さん(当時21)に睡眠導入剤を摂取させ、さらに、注射器を使ってアルコールを体内に注入し殺害した罪などに問われています。 安藤さんは意識障害を起こし、嘔吐物で窒息したとみられています。 25日の裁判で、検察は犯行の動機を「替え玉保険金殺人」として「自分に多額の保険金をかけ別人を自分になりすませて殺害した」と指摘。「計画性が高く、悪質な犯行」と主張し、南波被告に懲役30年を求刑しました。 弁護側は、検察が殺意を立証できていないと反論したうえで、犯行は、被告の精神疾患が影響しているとして、量刑について情状酌量を求めました。 これまで一貫して黙秘を続けてきた南波被告は、遺族への謝罪の言葉を口にし、「犯した罪の重さに真摯に向き合い、日々反省しながら生きていきたいと思います」と述べました。 判決は、来月2日に言い渡されます。 <スタジオ> 自分に最大で6億円以上の保険金をかけ、被害者を自分に見せかけて殺害したとされる事件の裁判。南波被告は、実の弟になりすましていました。 取材した毛利記者によりますと、検察は遺体の状況などから南波被告は被害者を確実に殺害するため人体がアルコールを吸収しやすいとされる直腸に直接注入したと断定しました。 こうした殺害方法についてもインターネットで調べていたと、その計画性を指摘しています。 一方の弁護側は、こうした検索履歴の抽出そのものが偏見を生むものだと反発していますが、当の南波被告は黙秘を貫き、事件のことは一切、語っていませんでした。ただ、25日、裁判長に促される形で初めて謝罪の言葉を口にしました。 驚愕の疑惑が持ち上がった今回の裁判。裁判員や裁判官が有期刑で最も重い懲役30年という求刑をどのように判断するのか、判決が注目されます。
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