学生・生徒と菓子店がコラボ スイーツ開発始まる【長野県飯田市】
「南信州日本なし産地再生プロジェクト活動」の一環として、長野県飯田市内の短大、高校と菓子店のコラボ商品開発に向けた取り組みがスタートした。5月30日、飯田市松尾代田の飯田短期大学で説明会があり、プロジェクトに参加する学生・生徒と和洋菓子店が顔をそろえ、商品の方向性や今後のスケジュールなどを確認した。 企画には飯田短期大学、下伊那農業高校、飯田女子高校が参画。このうち飯田女子高は夏からの参加を予定する。田月(飯田市伝馬町)、パティスリー・マサオオシマ(同市鼎下山)、得月(同市上殿岡)の3店舗が開発と販売に協力する。 説明会では県南信州農業農村支援センターが、南信州におけるナシの栽培面積や生産量が年々減少している状況、昨年度に始めた産地再生プロジェクト(2023~27年度)の取り組みを説明。目標達成に向けた4つの課題の一つ「販売戦略」の中で、ナシを使った商品化に取り組んでいることを紹介した。 参加店は、プロの目から見たスイーツとナシとの相性や印象、加工する上での注意点などを説明。菓子への活用は他の果樹に比べて難しく、得月の棚橋大祐社長は「水っぽくて日持ちせず、風味があるわけではないので、食感がポイントになる」とし、田月の城田茂社長も「ナシは主張がないため本来菓子には使いにくい。水分を取った上で、食感を残すことが大事」とした。 マサオオシマのオーナーシェフ・大島正勝さんは、昨年の経験から「初めて生菓子を作ったところ、思っていた以上に反響があった。焼き菓子にも使えるのでは」と語り、洋菓子店の目線からナシスイーツの可能性に言及した。 グループ分けを行い、それぞれ具体的に商品のイメージを固めながら、開発手順を打ち合わせた。 マサオオシマとコラボする飯田短大は、事前にマカロンを試作し、試食しながらプロの意見を聞いた。ナシを生地に練り込む方法やセミドライへの加工など、商品化に向けた検討を進める中で、提案やアイデアなどが飛び交った。マカロンを提案し試作品作りを担った飯田短大の学生は「プロの意見を聞いていろいろな学びがあった。お客さまに手に取ってもらえるような商品に育て、ナシの普及に貢献できたら」と目を輝かせた。 大島さんは「マカロンを作るのは難しいが、試作にしては出来が良くて驚いた。商品化するまではまだ修正するところがあるが、食べてナシを実感できる商品づくりを一緒に考えていきたい」と話していた。今後は両者で完成に向けて試作を繰り返す。 完成した「日本なし」のスイーツは、8月15日~10月15日の2カ月間、協力店舗の店頭で販売する予定。