教員などの性犯罪歴を確認《日本版DBS》審議入り 「盗撮しても示談で不起訴。新たな制度の網にかからないケースも」性被害事件に詳しい弁護士が効果と課題を解説
子供と接する仕事に就く人に、性犯罪歴がないかを確認する「日本版DBS」制度の創設などを盛り込んだ法案が、9日衆議院で審議入りしました。学校や家庭でキーワードとなる『日本版DBS』はどういう制度なのか…。盗撮など性被害に関する刑事事件を約700件担当した河西邦剛弁護士が解説します。河西氏は、新たな制度の網にかからないケースもあると今後想定される課題も指摘しました。 【映像で見る】「カメラは凶器」と弁護士が指摘 盗撮の最新手口、ハンガー型に壁フック型
性犯罪歴 前科あれば「退職や配置換え」
――性犯罪は再犯率が高いと聞きますが、やはりそうなんでしょうか。 (河西邦剛弁護士)はい。再犯率が高い中で、社会の中で圧倒的弱者である子供、声を上げにくいそこを社会全体で保護していこう、今回の法案はそういった法案になっています。 ――「日本版DBS」のイメージは、働く人の性犯罪歴を照会し、前科があれば▼内定を辞退、▼今働いている場合は退職または▼直接子供と接しない業務に配置替え、などが考えられています。照会が義務化されるのが小中高校、幼稚園、保育所など。いっぽう認定制となるのが学習塾、水泳教室、ダンス教室などとなっています。新規の求職者や現在働いている人が対象で、学校など義務化施設で当てはまる人は約180万人いるということです。
再犯する人は、大体10年以内にしているようだ
――犯罪歴をどれくらいの期間遡るのか、これは議論になったそうですね。 (河西邦剛弁護士)実は昨年のうちに法案提出がなされた可能性もあったんですけれども、この議論が長引いて、今国会の提出になったということです。「罰金以下なら10年」という期間がなぜかというと、初犯だとほぼ罰金刑なので、9割以上のケースが10年以内だからです。 もちろん1回犯罪して、再犯する人もそうじゃない人いるわけです。過去をさかのぼって調べると、再犯する人は、大体10年以内にしているようだ、ということで、線引きとして10年としたということです。 どこまでを対象にするかっていう「線引き」も難しかったそうで、塾、パソコン教室、ダンス教室など民間企業はどこまで認定制度の義務化にするかは難しく、自分たちで届けたところを制度に取り組んでいこうと着地しました。 ――そもそも性犯罪を防止しましょうと「罰金刑」、そもそもここを厳罰化する発想はないんですか。 (河西邦剛弁護士)あり得るところです。例えば職場を利用して、学校の先生が生徒を何百回も撮影したケース。初犯でも起訴されて懲役刑になるケースもあります。ただ実際、盗撮が初めてなどとなると、大体罰金20万~30万円ぐらいになってきます。1回刑務所に行くとかではないので、社会生活を送れる中で3~5年で再犯するケースもあります。