池江璃花子パリ五輪決める 17日一発勝負に全体1位で決勝進出「世界のトップに戻りたい」
「競泳・パリ五輪代表選考会」(17日、東京アクアティクスセンター) パリ五輪の代表を決める一発勝負の選考会が開幕した。女子100メートルバタフライ準決勝で池江璃花子(23)=横浜ゴム=が57秒03の全体1位で、18日の決勝に進んだ。予選で白血病からの復帰後ベストとなる57秒54を、さらに縮めた。日本水連が定めた派遣標準記録(57秒34)を突破し、2位以内に入れば3大会連続、個人種目に限れば16年リオデジャネイロ五輪以来、2大会ぶりの夢舞台出場が決まる。17歳の平井瑞希(アリーナつきみ野SC)が2位通過。男女400メートル自由形決勝は派遣標準記録に届かず、初日は代表切符獲得者がいなかった。 【写真】水中での池江 まさにトビウオのように飛んでいる 完全復活への確かな手応えをかみしめた。池江は予選で白血病から復帰後ベストを0秒14更新すると、そのタイムを準決勝でさらに0秒51短縮。“ベスト2連発”でパリ五輪の派遣標準記録超えの好タイムをたたき出し、首位で堂々の決勝進出を決めた。 持ち前のダイナミックな泳ぎで前半50メートルを26秒30でターン。後半はわずかに失速したが、それでも後続が追い付くことはなかった。レース後は観客席に向かって左親指を立て、満面の笑み。「準決勝で派遣を切りたいと思っていて、その通りのレースができてよかった。速く泳ぎたいし、ワクワクしていて、楽しみな気持ちで臨めた」と会心の汗を拭った。 4年前の3月17日。復帰後初めてプールに入った。病と懸命に闘った当時は懸垂1回をこなすことが精いっぱいだったものの、今では努力の成果が日焼けとなって体に刻まれ、背中も大きくなり、たくましさを取り戻してきた。 昨秋から拠点をオーストラリアに変更し、五輪金メダリストのエマ・マキーオンらとともにマイケル・ボール氏に師事。世界トップの選手にもまれることで、これまで目標にしていた「復帰後ベスト更新」は自然と、自身が持つ日本記録(56秒08)に変わった。 「世界のトップに戻りたい気持ちが強い。本当の自己ベストを意識しながらレースをしたい」。 決勝は18日。東京五輪はリレー種目のみの出場だったため、16年リオデジャネイロ五輪以来の個人種目代表切符がかかる。「4年前の自分に『パリ五輪決めたよ』って過去に戻って言いたい」。池江が五輪をかけた一発勝負に臨む。 ◇池江璃花子(いけえ・りかこ)2000年7月4日、東京都江戸川区出身。3歳から水泳を始め、五輪初出場の16年リオデジャネイロ大会では100メートルバタフライで5位に入賞した。日本選手権は17年大会で女子史上初の5冠を達成し、18年大会では6つの日本記録を樹立。同年アジア大会では史上初の6冠でMVPに輝いた。19年2月に白血病の診断を受け、20年8月に実戦復帰。東京五輪はリレー3種目に出場した。23年3月に日大を卒業。23年世界選手権では50メートルバタフライで5位入賞。171センチ。横浜ゴム所属。