40年以上のヒット曲なしは「理想の売れ方」 スターダスト☆レビューが歩む“音楽で生きる道”
ライブで育ててもらったスタレビだから
風邪気味で本来の調子が出ない、そんなライブでは曲を1、2曲増やすという。普通は減らす方向に行きそうなものだが、「調子が悪いときだからこそ歌える曲がある」という理由だ。同様に雨が降ったら演奏する曲もある。雨というマイナス要素をプラスに変えるため。ライブ会場の諸注意も会場のアナウンスではなく、バンドメンバー自身でこなす。「僕らのお客さんなんだから、僕らが言ったほうが伝わりやすい」。 名古屋で毎年行っている「音市音座」では、かつてゲリラ豪雨で電車が止まり、多くの客が開演時間に間に合わない事態もあった。30分以上開演が遅れるというアナウンスを「出演者がステージに出てしゃべると、間に合わなかった人が悔しがるから」という理由で、ステージの袖でひたすらしゃべっていたという。兎にも角にもサービス精神の塊なのだ。 そうしたライブの楽しさ、楽しませ方を持っているスタレビだからこそ、「ヒット曲を求める単一志向じゃなく、自分のスタンスでやりたい音楽を作っていくのがいい」という境地に達している。 自身の67歳という年齢を考え合わせ「終活も視野に入ってきた」とした上で、「身の丈に合ったライブをやれるなら、まだまだたくさんのやり方がある」と語る。 「ここまでライブで育ててもらったスタレビとしては、そのやり方を他のミュージシャンに継承したい。僕らがやれることは、ライブの面白いさまざまなバンドをもっともっと紹介していくこと。紹介していきたいんです」 スタレビは今後、そうしたバンドたちとライブでコラボするやり方で、近くそれに資するような何らかのイベントを考えているという。弾き語りのシンガーが集う「京都周遊アコースティックフェス」のように、根本がアコギ1本でゲスト出演するようなケースもあり、「僕らを利用してもらえるんだったらどんどん利用してくれればいい」とも。
僕らのために1日中一緒に動いてくれるなんて
こうした考えに至ったのは、デビュー前の経験も影響している。 「アマチュア時代、当時、『金子マリ&バックス・バニー』のベーシストだった鳴瀬喜博さんが、僕らが出たバンドコンテストに審査員でいらっしゃってたんですが、終演後に『お前ら、デモテープあるのか?』と聞いてくれたんです。そこで当時、熊谷市のスタジオで録ったデモテープを渡すと、後日電話をくれて、『要、空いてる日があれば、ちょっと俺に付き合え』といわれ、日にちを合わせて行ったら、そこはアルファレコードで、僕らのデモテープを一緒に売り込んでくれたんですよ。 結局、ダメだったんですが、その時、鳴瀬さんは『力になれなくてごめんよ』と言ってくれて。こちらにしたら『え~! 何言ってんですか!』ですよ。僕にしたら憧れのベーシスト鳴瀬さんが、僕らのために1日中一緒に動いてくれるなんて、そんな嬉しいことないじゃないですか」 そんな思いを今も胸に抱え、根本は日本の音楽活性化のために、他のバンドと音楽業界を盛り上げていこうとしている。そうした原動力がある限り、スタレビはこれからもまだまだ我々を楽しませ続けてくれるはずだ。