ジンの蒸留時に出る「ボタニカルの粕」をどう使う? 福島県の酒蔵の新たな挑戦
コロカルニュース
■新進気鋭の酒のつくり手がコラボ 2021年に福島県南相馬市で開業した酒蔵〈haccoba -Craft Sake Brewery-(ハッコウバ クラフトサケブルワリー)〉から、ジンの蒸留時に出るボタニカルの粕(かす)を使ったお酒が登場しました。 【写真で見る】ジャンルの垣根を超えた自由な酒づくりを行う〈haccoba -Craft Sake Brewery-〉のメンバーの皆さん。 〈Vert〉と名づけられたその商品は、「さまざまなボタニカルで香りをつくっていくクラフトジンの蒸留粕を、お米と一緒に発酵させたらどんなお酒が生まれるんだろう」という好奇心から生まれたと言います。 クラフトメーカーが商品をつくるうえで、避けて通ることのできない「粕」の問題。 酒蔵ならお酒を搾った際に「酒粕」が、ジンの蒸留所なら蒸留時に「ボタニカルの粕」が出てしまいます。 そんな未利用資源のアップサイクルにもつながる新たなお酒づくりを行うために、彼らが声をかけたのが、2022年に長野県で開業した〈野沢温泉蒸留所〉でした。 豊かな自然に育まれた原料と湧き水でつくられた香り高いクラフトジン〈Nozawa Gin〉は、同所のフラッグシップ商品。 そのジンをつくる際に出る蒸留粕を使い、お米と一緒に醸して完成した〈Vert〉はジュニパーベリーだけでなく、クロモジや杉など12種類のボタニカルで表現された森を思わせる香りと、お米の柔らかな味わいが合わさり、蒸留酒とはまた違った表情を生み出しています。 東日本大震災による避難で人口が一時ゼロになったまち、南相馬市小高区の「新しいコミュニティ」を目指してスタートした〈haccoba -Craft Sake Brewery-〉。 2023年8月には隣町の浪江町にふたつ目の醸造所を立ち上げ、伝統に基づいた自由な醸造スタイルの酒づくりに取り組むと同時に、社会課題に思いを馳せるきっかけづくりにも力を入れています。 そのひとつとも言える〈Vert〉は、すでに公式オンラインストアでは完売していますが、全国の取扱店舗でも販売されているので、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。 writer profile Mae Kakizaki 柿崎真英 かきざき・まえ●ライター。宮城県仙台市出身。2019年よりフリーランスライターとして、東京を拠点に活動中。月刊誌やニュースサイト編集者としてのバックグラウンドを活かして、Webメディアや雑誌などに寄稿を行う。 【コロカルニュース】とは? 全国各地の時事ネタから面白情報まで。コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。