音を和らげるイヤホンが手放せない…感覚過敏で不登校経験 女子高生を支えたのは洋菓子作りだった
感覚過敏や識字障害のある京都市在住の女子高校生が、得意の洋菓子づくりで新たな一歩を踏み出そうとしている。中学時代に不登校で苦しんだ時期もあったが、高校入学後は市内のカフェで製造販売の経験を積み、腕を磨いてきた。来春に調理専門学校の製菓コースに進学する予定で、憧れのパティシエを目指す。 【写真】色とりどりのフルーツが乗った誕生日ケーキ。坂根さんが焼いたもの 清明高校(北区)の最終学年の坂根つくしさん(18)は、物心がついた時から、音に過度に敏感だったり、字が二重に見えたりした。中学に入ると、ささいな事から友人との間でトラブルとなり、ソフトテニスのクラブ活動の引退をきっかけに不登校となった。光や音を和らげるサングラスやイヤホン、識字の手助けとなるタブレット端末が手放せないという。 学校生活になじめなかった坂根さんの心の支えは洋菓子づくりだった。幼少期から、母がつくったクッキー生地を丸めて遊んでいた。小学5年から料理教室の製菓コースに通い、知識や技能を習得。ユーチューブ動画を視聴するなど独自の研究も続けた。友人に自作の菓子を贈ると、「どこで買ったの」と市販品と誤解されるほどの腕前になったという。 高校進学後、東山区でカフェ「豆八茶屋」を経営する伴克亘さん(59)と出会い、活動の幅が広がった。坂根さんがつくる菓子の品質の高さに驚いた伴さんの提案で、長期休みを利用し、同カフェでパウンドケーキやチョコレート、ブラウニークッキーを製造販売したり、原価計算を学んだりした。 坂根さんは「同じ材料でも、温度などの微妙な条件の変化で仕上がりが変わり、面白い」と洋菓子づくりの魅力を語る。 高校の学校祭では一般公開する11月2日に、自慢のクッキーやパウンドケーキを販売する予定だ。 進学先の調理専門学校では、フランスへの留学を計画している。「将来仕事に就けないのでは、と不安があった。決してそんなことはない、ということを同じ症状で苦しむ人に伝えたい」と坂根さん。洋菓子店を開く、という夢に向かい、腕を磨き続ける。