中世山城の「与論城跡」が国指定史跡に 推定3万平方メートル超え、琉球式グスクでは最北端
国の文化審議会(島谷弘幸会長)は、琉球の「グスク」と呼ばれる中世山城の与論城跡(鹿児島県与論町)を史跡に指定し、塚崎古墳群(肝付町、1945年指定)の史跡指定の範囲を拡大するよう文部科学大臣に答申した。県内の国史跡は34件となる。 【写真】最北端の大型琉球式グスクとして国指定史跡に答申された与論城跡(与論町教育委員会提供)
与論城は14世紀前半から中ごろに築城されたとみられる。島には琉球が北山、中山、南山の3つの王国で覇権を争っていた14、15世紀の三山時代、北山王の三男・王舅(おうしゃん)が築いたとの伝承が残る。 大型琉球式のグスクとしては最北端に位置する。推定面積は3万平方メートル超で、沖縄本島以外では最大規模。沖縄本島が見える島南部の標高93メートルの断崖上にあり、石垣や山腹を平たんにした曲輪(くるわ)などからなる。築城の背景には、明、琉球、奄美、薩摩といった東シナ海域の動きとの関連性もうかがえ、「当時の南方社会の実態を知る上でも重要」と評された。 県内の城跡の指定は志布志城(志布志市)や鹿児島城(鹿児島市)など7例目。 塚崎古墳群は古墳時代前期後葉ごろから中期中葉にかけての古墳群で、古墳文化の南限として重要視されている。高さ1.5メートル、直径19メートルの円墳の33号墳や、地下式横穴墓が存在する可能性がある計約3370平方メートルを追加。指定面積は約22万8219平方メートルとなる。
審議会は他に江戸時代初期に起きた島原の乱(島原天草一揆)の舞台となった「島原城跡」(長崎県島原市)など5件の史跡指定を答申。湧泉で形成された景勝地「納池(のいけ)」(大分県竹田市)の名勝指定も求めた。答申通り告示される見通しで、史跡は1911件、名勝は432件になる。
南日本新聞 | 鹿児島