本木雅弘主演「坂の上の雲」9月8日から地上波一挙放送!
本木のコメント全文は以下の通り。
本木雅弘(主人公・秋山真之 役)
再放送のお話をうかがったときは、驚きと懐かしさと、作品が蘇る機会を得た歓びとで、なんだか有り難いなと思いました。 撮影は2007年の11月からおよそ三年間で、その期間は「坂の上の雲」で秋山真之を演じることだけに集中して過ごしました。 最終ロケ地の松山の海で撮影が終了した際には、「とにかく何とか辿り着いた」という放心と共に安堵したことを覚えています。
ドラマ「坂の上の雲」は、国内40か所以上、海外7か国でロケを行い、スタッフの多くは本当に 10年がかりの仕事だったそうです。 事実、あの規模で、あれだけの月日をかけて、あのような拘りで作品づくりに臨める経験はなかなかありません。 撮影が終わってから14年ほどが経ちますが、この作品でご一緒させていただいた方々の中には、渡哲也さんや加藤剛さんをはじめ、鬼籍に入られた大先輩方も多くいらっしゃいます。自分にとっては、時を経て思い出すたびにその特別感が増してくる、記念碑的な作品です。
今回、「坂の上の雲」を初めて観てくださる方も多いかと思います。原作の司馬遼太郎さんが、「21世紀を生きる君たちへ」という著書の中で、歴史について語られた言葉があります。
歴史とは?と聞かれるとき、「それは、大きな世界です。かつて存在した何億という人生が そこにつめこまれている世界なのです。」と、答えることにしている。
ドラマ「坂の上の雲」も、明治という時代を生きた大勢の人生が詰め込まれた作品です。新しいことが始まる予感に導かれた多くの若者が、夢を持つことから始まる物語です。 男たちだけはなく、菅野美穂さん、松たか子さん、石原さとみさんなどが演じる明治の女性たちも溌溂と活躍します。
近代国家の成り立ちや戦争についての難しい話以上に見えてくるのは、ある意味、日本の青春時代とも言える明治を駆け抜けた若者たちの痛快、痛切な青春物語です。 誰もが若さ故に無謀なこともして失敗し、傷つき、学んでいきます。そして少しずつ柔らかくしなかやに強くなっていく。その姿にきっと励まされたり慰められたりするでしょう。 そういう始まりの時代の大きなエネルギーの塊、そして、生きていることの眩しさを感じていただければと思います。
現代も、私たちの周りの世界は簡単ではありませんし、別の窮屈さを感じる時代だと思います。そんな今だからこそ多くの人たちに、明治を生きた人々の思いと輝きが届き、それぞれが追いかけた誇りを、まるで自分ごとのように共有して何かの力に繋げていただけたら良いなと願っています。