あなたの知らない札幌《ちえりあ》後編 札幌五輪の映像も希少フィルム保存
【北海道・札幌】人口200万人の声も聞こえる北の大都市・札幌。その札幌には、多くの観光地や名物施設があります。とはいえ、札幌市民ですらそれらのすべてを知っているわけではありません。そこで「あなたの知らない札幌」と題した企画をスタート。第8回後編は、札幌市生涯学習センター「ちえりあ」(札幌市西区)の須田眞彰さんに、札幌市内ではここまで豊富な在庫はないという希少な機材や趣味を生かした講座について伺いました。(構成/橋場了吾)
20台の16mm映写機と6000本のフィルムを貯蔵
ちえりあには、今はすでに製造が中止されている16mm映写機が20台あります。16mm映写機は学校で使用するために導入されたのですが、最近はパソコンやDVD再生機から直接スクリーンに映し出すプロジェクターが普及したので、稼働する場面は減ってきてしまいました。 しかしながら、あのプチプチという音とともに映し出される白黒のカウントダウンや、味わい深い映像の人気は高く、月に3~4回ほど使用されます。しかもこの使用には、無料で貸し出しを行っているので、町内会や学生サークルなどが利用しています。特に学生サークルには「初めて見るもの」という意味でも人気があるようです。 フィルムの在庫は6000本ほど。もともと学校教育のためのものなので、社会科や理科で使う教材が多いのですが、中には札幌冬季オリンピック(1972年)や地下鉄開通までの道のりなどの貴重な資料映像もあり、こちらも貸し出しを行っています。
生涯学習を実践する「ご近所先生」
あと、ちえりあで行っているのが「ご近所先生」という企画です。これはもともと「さっぽろ市民カレッジ」という、私たちで考えた企画を私たちが選んだ講師に行ってもらう講座からスタートしたのですが、私たちだけのアイデアでは講座の幅が狭まってしまうということで、講師を一般募集したのがきっかけで始まりました。 「さっぽろ市民カレッジ」はちょっと硬派なビジネス向け、「ご近所先生」は体操や歴史、語学など気軽に参加できる講座が多くなっています。年間150~60講座が開講され、1講座全5回で終了し、何度も継続されている講座もあればサークルに発展していく講座もあります。 この「ご近所先生」の1講座は20名を定員としているのですが、時代の流行がダイレクトに反映されるのも面白いところです。最近は歴史やチーズなどの講座が人気で、募集からすぐに定員が埋まってしまうこともあります。 ちなみに「ご近所先生」はちえりあオリジナルの企画なのですが、せっかくなので少しでも多くの方に体験してもらおうと各区民センターとも協力しています。出張している講座はちえりあ以外でも受けることができますので、興味のある方はチェックしてみてください。講師の募集も半年にごとに行っていますので、自分の趣味や知識を広めたいという方は応募してみてください。 ちえりあ付近は、石屋製菓の白い恋人ファクトリーや手稲記念館など観光施設が徒歩圏内に集中している場所でもあります。地下鉄東西線「宮の沢」駅直結という便利なアクセスなので、観光途中や芸術作品の見学がてらにぜひお越しください。