【解説】「小選挙区は自民候補でも比例は…」熊本県内の比例票の行方 政治学者に聞く
熊本県の4つの小選挙区で計43万7323票を獲得した自民党ですが、比例票では、自民が24万1040票、公明が10万854票と、あわせても34万票で、約10万票の差がありました。 【動画解説】熊本県内の比例票の行方 躍進したのは… 崇城大学総合教育センターの今井亮佑教授（政治学）は「小選挙区の票に比べて、比例の自公の票が減るのは、一般的にどの選挙でも起こること。小選挙区では自民党の候補に投票するけど、例えば、バランス感覚をとって、比例代表では野党に投票するようなことがあって、差が生じるが、今回は、この差が、いつもの選挙に比べて大きかった」と話します。 さらに「個人として、この人に議員としてやってほしいと考えた有権者が多くいたと考えられる一方で、比例代表は、政治とカネの問題もあって、自民党や連立を組んでいる公明党には投票したくないと考えて、あえて、比例代表では自公に投票しないいうように、投票行動をわける有権者が多く出た結果として、10万票という大きな差がついたと考えられる」としました。
また、比例票の内訳を見た場合に「立憲民主党の議席が全国的に伸びているが、県内の得票を見る限りでは、立憲よりも、むしろ国民民主党やれいわ新選組が伸ばしているし、参政党が4万票あまりをとって、九州で一議席を獲得することになった」として、国民民主が躍進した要因としては、2つ考えられるとしました。 「玉木代表が現実路線で政策実現を目指す方針でやってきたけれども、これに有権者の一定の支持が得られた。もう一つは、立憲民主党には投票したくない自民支持者がいたと考えられる。立憲民主党は幅が広く、リベラルな議員も多く含まれるため、自民党と立憲民主党の間は、政策的な差は結構大きい。比例代表で自民党に投票したくない人が、立憲にもいれたくないという人がいる。ところが、国民民主党は、比較的に政策的には自民党に立場が近いので、立憲よりも国民にいれやすいということで、比例で国民に入れる人がいて、結果として伸びたということが考えられる」と見ています。 また、参政党については「作戦通りだったと言える。候補者を立てることによって、小選挙区と比例代表の選挙活動を連動させることができるので、県内で候補者をたてて、参政党の知名度を上げて、比例代表の得票につなげるということが上手くいった結果として、票が伸びたと考えられる」 さらに、れいわ新選組に関しては「一点突破、消費税廃止を掲げていたが、消費税は、有権者の財布のひもに直結する問題で、一番気になるところ。自分に直結する問題かられいわ新選組を選択した有権者が多くいて、伸びたということが考えられる」としました。 今井亮佑（崇城大学総合教育センター教授。東京大学法学部で蒲島前熊本県知事に師事。KABくまもとLive touchコメンテーター）
