『ボイプラ』出身 ZEROBASEONE、SEVENTEENの弟分 TWS……2024年期待すべき“K-POP第5世代”
コロナ禍によるエンターテインメントや海外渡航の規制がほとんど解除された2023年、海外での活動も活発なK-POPアーティストも新しい局面を迎えた。韓国メディアではアイドルの歴史を「世代」として表現する動きが出てきており、明確な定義は曖昧だが、アイドル創成期の第1世代、海外進出が本格化し始めた第2世代、多国籍化とデビューサバイバル番組が席巻した第3世代、「PRODUCE 101」シリーズの終焉期とコロナ禍に誕生した第4世代に続き、コロナ禍明けの時期にデビューしたアイドルたちは「第5世代」と呼ばれ始めている。 【画像】ZEROBASEONE ライブ模様 この「第5世代」筆頭と言えるのがZEROBASEONEだろう。韓国で国民的ヒットとなり世界各国へ輸出されたデビューサバイバル番組「PRODUCE 101」シリーズは、韓国では制作側の投票操作が明らかになりプロデューサーの逮捕と共に「アイドルのデビューサバイバル」自体への一般的な注目度は落ちてしまっていたが、同じくMnetが2023年に制作したボーイズグループのデビューサバイバル『BOYS PLANET』は久しぶりに大きな盛り上がりを見せた。特に「PRODUCE 101」シリーズの1・2は韓国内での一般層の盛り上がりが大きかったが、Kep1erを生んだ『Girls Planet 999』同様に「PLANET」シリーズは海外のアイドルファンからの注目度が高かったことが特徴と言えるだろう。 9人組グループとして2023年4月に結成されたZEROBASEONEは、同年にリリースした1stミニアルバム『YOUTH IN THE SHADE』、2ndミニアルバム『MELTING POINT』のCD売上合計が385万枚を超え、ボーイズグループ全体でも6位にランクインした(※1)。日本ではJO1やINIの所属するLAPONEエンタテインメントに所属しており、2024年3月20日にソニー・ミュージックレーベルズからリリースする日本1stシングル『ゆらゆら -運命の花-』で日本での活動を本格化する予定となっている。グループの活動期間自体が現状では2年半の予定のため、2026年まで活発な活動が期待される。 『BOYS PLANET』は番組自体の注目度ゆえに、デビュー組から漏れたメンバーで結成されたグループのデビューも活発だ。VIXX、VERIVERYなどが所属するJellyfishエンターテインメントからは、KEITAやPARK HANBINなど7人全員が『BOYS PLANET』参加者のEVNNEがデビューした。また、FTISLAND、CNBLUEやSF9が所属するFNCエンターテインメントからデビューしたAMPERS&ONEは、『BOYS PLANET』出身のKAMDEN、JIHO、BRIANを含む7人組。ARMADAエンターテインメントからは、最終順位10位と惜しくもデビューを逃したJAY CHANGを含む注目度の高いメンバー5人で結成されたONE PACTがデビューした。 HYBE傘下のBIGHIT MUSICがデビュー予定の練習生としてコンテンツを公開していたTrainee Aは2022年にデビュー計画が白紙に戻っていたが、2023年は当時の所属練習生のデビューが目立った年でもあった。元iKONのB.Iが立ち上げた131レーベルをベースに昨年誕生したGRIDエンターテイメントは、FNC・YGエンターテインメント・WAVYなどでA&Rを経験してきたシム・ヘジンが代表とA&R総括を務める新興事務所だが、現在は傘下に吸収された131レーベルからTrainee A出身のLEOが2023年8月にソロアーティストとしてデビュー。続いて10月にはGRIDからも、Trainee Aのタイ人練習生だったYORCHと、JYPエンターテインメントとP NATIONの合同デビューサバイバル『LOUD』に出演したDONGYEONを含む5人組ボーイズグループ POWがデビューしている。 同じくTrainee AだったJIHOONは、今年1月22日にPLEDISエンターテインメントからデビューが決まっている6人組ボーイズグループ、TWSのメンバーになったことが確認されている。TWSはTWENTY FOUR SEVEN WITH USの略で、NU'EST、SEVENTEEN以降9年ぶりにPLEDISからデビューするボーイズグループとして、今年要注目となりそうだ。 サークルチャート(韓国の音楽コンテンツ売上をまとめたチャート)によると、2023年にデビューした新人ボーイズグループの音盤(フィジカル)売上TOP 5は以下の通り。 1位 ZEROBASEONE(2023年7月デビュー・EP2枚) 385万枚 2位 RIIZE(2023年9月デビュー・シングル1枚) 105万枚 3位 BOYNEXTDOOR(2023年5月デビュー・EP&シングル各1枚) 76万枚 4位 xikers (2023年3月デビュー・EP2枚) 40.5万枚 5位 PLAVE(2023年3月デビュー・シングル&EP各1枚) 40.4万枚 ファンダム人気が特に重要とされるボーイズグループにおいて、概ねのファンダム規模を反映しているフィジカル(CD等の実物音盤)の売上は国内外での注目度をある程度反映していると言えるだろう。 シングル1枚のリリースで売上100万枚を超えたRIIZEは、NCTやEXOのような歴代人気ボーイズグループを生み出してきたSMエンターテインメントから2023年下半期にデビューした。元々はNCTのグループとしてデビュー予定だったメンバー4人に、新しくお披露目されたメンバー3人を加えた7人組グループ。長年グループ制作に関わってきたSMの創設者イ・スマンが去ったあとに初めてデビューしたグループということで、RIIZEは「明確なコンセプトがない」という部分が以前のSMのグループとは大きく異なる点だろう。 過去、グループデビューに際しては必ずコンセプトを決めてきたSMとしては、RIIZEのメンバー自身を全面に出した、ある意味「自然体」なデビューは大きな方向転換と言えるのではないだろうか。まだシングル1枚しかリリースしていないにも関わらずZEROBASEONEについで100万枚を超える売上を記録しており、今後の成長が期待されるグループのひとつであることは間違いなさそうだ。 韓国では大衆的な人気アーティストとしても認知されているBlock.Bのリーダー ZICOが立ち上げ、現在はHYBEの傘下となったKOZエンターテインメントからデビューした6人組グループのBOYNEXTDOORは、シングルとミニアルバム各1枚の売上で76万枚を記録した。ZICOプロデュースということでデビュー時から注目を受けていたが、2023年9月にリリースした1st EP『WHY...』のタイトル曲「But Sometimes」がバイラルでヒット。人気の男性アイドルグループでもMelOnのTOP 100に入ることはなかなか難しいとされているが、その週間TOP100で3位に入るなど、デビュー時を超える成績を記録した。パフォーマンス時はハンドマイクを使うなどボーカルパフォーマンスにも力を入れており、2023年のボーイズグループのデビュートレンドだった「親しみやすい隣の男の子」感をそのまま体現したグループとして存在感を発揮した。 ミニアルバム2枚をリリースして4位を記録したは、2023年3月にKQエンターテインメントからデビューした10人組 xikers。デビュー前からKQ Fellaz 2としてコンテンツを披露したり、先輩グループのATEEZのライブに参加するなど、ファンに存在を知らせてきた。特にATEEZの欧米圏での人気の高さもあり、デビューミニアルバム『HOUSE OF TRICKY : Doorbell Ringing』は、リリースしてすぐにアメリカのBillboardアルバムチャート“Billboard200”に75位でチャートインした。早くも事務所のカラーと呼べそうな独特の疾走感あるパフォーマンスとヤンチャさが特徴と言えるだろう。 5位のPLAVEは先の4組とは異なり、サバイバル番組出身でも大手事務所所属でもなく、人気の先輩グループがいるわけでもないが、シングル1枚とミニアルバム1枚で40.4万枚を売り上げた。ウェブトゥーンのようなアバター姿で活動しているVTuber系のヴァーチャルアイドルグループで、人気イラストレーターのナクディ氏がデザインしたアバターの姿で、主に動画配信をメインに活動している。 所属事務所のVLASTはもともとTV局のMBCから独立分社した会社で、リアルタイムで全身が投影され、メンバー同士がぶつかってもアバターが破れない独自のアルゴリズムを開発している。各メンバーに「中の人」がいるために楽曲制作やライブパフォーマンスが可能であり、一般的なK-POPアイドルと同様に音楽番組や見えるラジオ、ライブイベントなどに参加可能。昨年は『KCON LA 2023』や野外フェスでパフォーマンスを披露した。1stミニアルバム『ASTERUM : The Shape of Things to Come』リリース時にはヨントン(オンラインでのミーグリ)を開催し、ファンとのコミュニケーションツールであるWeverseにも参加したりと、「見た目がCG」という以外はリアルなアイドルとほとんど変わらない活動をしている。 特徴としては音源成績の強さだ。1stミニアルバム『ASTERIUM』は韓国で最もユーザーの多い音源サービスであるMelOnで、チャートTOP100&24時間以内に100万ストリーミングを達成したアルバムのみが認定される「MelOnの殿堂」に入り、「最もストリーミングされたアルバム」チャートでは10位に入ったZEROBASEONE(172.8M)よりも上の8位(212.9M)と、昨年デビューしたボーイズグループの中では最も良い成績を収めた。 年末にリリースしたクリスマスソング「Merry PLLIstmas」は週間TOP100の7位にチャートインしている。一般的なアイドルファン以上にアニメなどの二次元コンテンツやVTuberを好む層からも支持を集めており、「バーチャルアーティスト」の中でも売り上げやチャートで実績のあるファンダムを獲得しているという部分で、「新たなK-POPアイドルの活動スタイル」のひとつとしても注目を受けている存在と言えるだろう。 サバイバル番組出身や大型デビュー、VTuberなど様々なスタイルの新人ボーイズグループの活躍が見られた2023年だが、2024年もすでに前述のTWSや最後のNCTグループとなるNCT NEW TEAM、JYPエンターテインメントの元副社長だったチョ・ヘソンが制作総指揮にあたり、J.Y. Park氏も“甥っ子のような存在”と言うEDENエンターテインメント初のボーイズグループ ALL(H)OURSなど、注目のデビューが控えている。2024年は本格的に第5世代の活躍が期待される年になりそうだ。 ※1 https://circlechart.kr/page_article/view.circle?sgenre=opinion&idx=23345
DJ泡沫