川副は清乃海（右）を寄り倒しで破り三段目優勝を決める（撮影・小沢裕）

＜大相撲秋場所＞◇13日目◇20日◇東京・両国国技館 　三段目は元十両で西51枚目の川副（25＝伊勢ケ浜）が、西24枚目の清乃海（28＝玉ノ井）を寄り倒し、7戦全勝で優勝した。 　118キロの小兵が57キロ重い相手を持ち上げた。立ち合い強く当たり「体格が小さい。四つで組んだら勝てない」ともろ差し。「つってしまえば何もできない。持ち上げながら前に出るイメージで」と、まわしを持って土俵際に追い込んだが、俵に足を乗せながら耐える清乃海とともに倒れ込んだ。軍配は背中から落ちた相手に上がったが「負けた感覚は一切なかった」。その自信通り、物言いの末に勝ち名乗りを受けた。 　先場所では西序二段23枚目まで番付を下げたが、6勝1敗。今場所は全勝優勝を果たした。「これまで4連勝しかしたことがなかった。5、6、7（連勝）、優勝は経験がしたことがない」と初体験を喜んだ。 　大けがから気持ちを入れ替えた。昨年7月の名古屋場所で十両に昇進したが、4月に負傷していた左足リスフラン関節靱帯（じんたい）損傷などが悪化。11月に手術し、長期休場を余儀なくされた。 　その経験を「失態」と振り返る。「甘い気持ちがケガを生んだ」と反省。十両昇進で「輝鵬」としたしこ名も、「川副」に戻し初心にかえった。前に出る気持ちを強め、相撲に誠実に向き合った。夏場所13日目で復帰してから3場所目でも状態は万全ではない。ただ「慣れていくしかない」とケガと付き合っていく覚悟を示した。 　同部屋には横綱照ノ富士、十両尊富士、序二段炎鵬らケガを抱えながら奮闘する力士が多くいる。「苦労しているのを近くで見ている。見本になる人が多い」と刺激を受ける。目標は「まずは戻らないと」と十両復帰。その先には「幕内、三役、大関、横綱。上がある限りは上を目指す」と力強く誓った。【飯岡大暉】