「入所高齢者の拘束虐待が頻繁」…「療養院での拘束禁止」法案、韓国国会に初提出
キム・イェジ議員が高齢者長期療養保険法改正案など代表発議 「車いす二重拘束」療養院について鶏龍市長を国政監査の証人に採択
高齢者療養施設で入所者の体を縛るなどの身体抑制行為を禁止し、違反した場合の処罰を規定した法律改正案が、初めて韓国国会に提出された。入所高齢者を車いすとベッドに拘束して虐待と判定された忠清南道鶏龍市(ケリョンシ)のA療養院について、国会保健福祉委員会は同市のイ・ウンウ市長を国政監査の証人として呼ぶことを決議した。 与党「国民の力」のキム・イェジ議員は2日に発表した報道資料で、一部の療養院で恣意的に行われている高齢者の拘束を禁止することを内容とする高齢者長期療養保険法と高齢者福祉法の一部改正案を代表発議したことを明らかにした。改正案には与野党の10人の議員が名を連ねた。キム議員は「現行法には長期療養機関の入所高齢者に対する身体的制限行為を禁止する規定がないため、一部の機関で高齢患者を動けないよう強制的に縛ったり隔離したりなどの虐待事例が頻繁に発生している。対策が必要な状況」だと改正案の提出理由を説明した。 キム議員が代表発議した高齢者長期療養保険法改正案では、長期療養機関指定の取り消しなどを規定した第37条に「受給者(入所者)を隔離したり縛ったりするなどの身体的制限を加える行為」を新設。高齢者の拘束などが行われた場合は、程度によっては自治体の長が長期療養機関指定を取り消したり、6カ月以内の業務停止を命じたりできるようにした。 また高齢者福祉法では、禁止行為を規定している第39条の9に「高齢者を隔離したり縛ったりするなどの、高齢者に身体的制限を加える行為」を新設し、このような行為が行われた場合は5年以下の懲役または5000万ウォン(約552万円)以下の罰金に処すとした。 これまで療養院内の拘束については、高齢者長期療養保険法と高齢者福祉法に規定がまったくなく、保健福祉部の行政規則の一種である「長期療養給与の提供基準および給与費用の算定方法などに関する告示」に「高齢者または機関従事者の命や身体に危険を招く可能性が顕著に高い時」などの禁止事項の例外が規定されているのみだった。多くの療養院は恣意的に指針を作り、入所高齢者の身体を拘束していた。 一方、国会保健福祉委は8日に行われる保健福祉部に対する国政監査に、鶏龍市のイ・ウンウ市長を証人として、忠清南道南部高齢者保護専門機関のオ・ボッキョン館長を参考人として呼ぶことを決めた。ハンギョレが2日に報道した忠清南道鶏龍市のA療養院の「高齢者拘束」に関して、療養院に対する自治体の管理・監督義務を問うためだ。両名を国政監査に呼んだキム・イェジ議員室の関係者は、「イ・ウンウ市長の場合、高齢者保護機関が虐待判定を下した管内のA療養院の管理・監督責任者として義務を全うしたのか、まだ送検が決まっていないとの理由で行政処分を先送りしていることが適切なのかなどを問う予定」だと語った。 コ・ギョンテ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )