２０２３年度、長崎市内などを運行する路線バスや路面電車などで計７日間（いずれも日曜日）実施した運賃無料デーに関し、１日の延べ利用者数が同年度の日曜日平均の最大１・７倍に上ったことが、同市の分析で明らかになった。実施日は商業・観光施設の来場者が増加する傾向が見られ、交通量が一定抑制されたことも判明した。 　最終７回目（２４年３月）の後の参加者アンケートでは３割が「従来より公共交通機関の利用が増えた」と回答。同市の担当者は「潜在需要があることが分かった。利用促進にどうつなげるか検討したい」としている。 　人口減少やコロナ禍の影響で公共交通機関の利用者は減少する一方、燃料費は高騰。事業者の経営は厳しさを増している。住民の生活の足である路線網を維持するため、市は課題を整理した上で２６年度から５年間の新しい地域公共交通計画を策定する。 　市の分析によると、無料デー初回（２３年６月）の延べ利用者は年度平均の１・７倍の１５万４千人。他の実施日も１４万１千人～１５万３千人だった。三つの商業施設では実施日の来店者は軒並み増え、前週比１・６倍超のケースも。観光施設のグラバー園とベネックス恐竜博物館でも来場者が前週比１・６倍に上る日もあった。 　市内５カ所の主要地点の交通量はいずれの実施日も前週と同程度または１割減少した。 　アンケートによると、無料デーを理由に外出した人が約３割おり、この人たちの１日当たりの消費額は計６千万円と推計。市による事業者への１日当たりの補助額１７００万円を上回ったという。